“スケッチ”というと絵のイメージが強いですが、音楽用語にも“スケッチ”があります。ベートーヴェンは散歩中にひらめいたアイディア(楽想)を楽譜に書きとめました。その“スケッチ”を基に壮大なシンフォニー(交響曲)を作り上げたそうです。
私はこの“スケッチ”という感覚を、政治を論じる上でも大切にしたいと思います。
静岡県に3日間滞在して、各日1人ずつの主権者の「小沢一郎論」を聞くことができましたので、ご報告します。で、私はこれまで「西松事件」と表現してきましたが、本質が見えてきましたので、「小沢一郎論」「小沢問題」という表現をしていこうと思います。
①日目のスケッチ
総支部長の辻立ち演説中に総支部長を紹介したプレス民主号外、緊急経済対策ビラ(政策ビラ)の2枚の三つ折りビラをセットにした宣伝物を配りました。
総支部長がマイクで演説中に、自転車に乗ったご婦人がかけつけました。
歳の頃合いは45歳、専業主婦だとお見受けしました。
「すいません、私は分かるけど、少し(演説の)しゃべりが早いわ。私は(政治のことは)ある程度、分かるけど、分からない人には演説の内容が聞き取れないんじゃないかしら」とご指摘。
演説を終えた総支部長が走ってきて、話し相手をバトンタッチした後も背中越しにお話を伺いました。
総支部長に同じ話をされたご婦人は「私は民主党だし、政権交代を応援しているから頑張って」。
自転車を一瞬、元来た方に切りかけて、「あっそれから・・・」
「小沢さんの件だけどね、私は問題ないと思うの。50年を超える官僚政治を変えるには、ある程度(政府の中を)知っている小沢さんじゃないといけないと思うわ。今度の件は、なんて言うのか、必要悪っていうのかな、分からないけど」
自転車のカゴには荷物がありませんでした。家の中で演説を聞いて、出てきてくださったのでしょう。
(私の感想)「政治のことを『分かる』とおっしゃった政治意識の高いご婦人が、小沢問題は『分からない』とおっしゃった。やはり小沢さんの説明は不足しているのではないか。それと、「小沢問題」はけっしてタブーではないんだな。
②日目
総支部長の同級生のお父さんが、自ら電話をくださり、事務所に駆けつけてくださいました。総支部長とお父さんは初対面。もちろん、息子の話から。定年が近いとおっしゃっていましたから59歳でしょう。職場の労働組合の委員長を10年近く務めたそうで、「社会党は政権を獲る気がないから、ダメだった。でも一党独裁はダメだ」。それからいろいろな話をしている最中に突然、「小沢問題」になりました。
「それから3月の小沢さん、あれは電撃的にやられたね。(政府自民党の)ズルだね。あれはみんな(事件の本質を)分かっているよ。言ってみりゃ、制限速度40キロのところを、何キロオーバーだか分からないけど、10キロオーバーで走ったようなもんだよ。10キロオーバーで罰金(をとられたという話)は(聞いたことが)ないよ」
(私の感想) 「違法献金事件」という新聞用語に関しては、私は今でも「虚偽記載」というよりも「記載ミス」という感覚を持ち続けています。ですから、「違法献金」という認識が刷り込まれてしまったな。もう一つの新聞用語「巨額献金事件」でいけば、小沢さんの脇の甘さ(総支部周りの小沢事務所秘書の人件費・滞在費&「西松」が札付きの会社なのに1月から「必要なら返金する」と言いつつ事務処理を怠った)があります。3月のテレビジョン&新聞のネガティブキャンペーンは多少効いている。ここでも「小沢問題」はタブーではないな、話題作りになっているなと感じました。
③日目
プレス民主号外と経済対策ビラを200セット作り、ポスティングしました。移転したばかりの事務所近くということで、なるべく呼び鈴をならして直接お渡しし、「事務所が近くてお騒がせします」とあいさつしました。
不慣れな土地ですので、ゼンリンの住宅地図のコピーに愛用の鉛筆と方位磁針を持って楽しく歩きました。
門から玄関まで30メートルほどある大きい邸宅。
ご主人ないしは長男(50ぐらい)にビラを渡したら、「民主党はダメだよ」と言われたので、とっさに帰ろうとしたら、呼び止められました。
「俺は前にも民主党に入れたことはあるんだよ。この間も仲間と話していたんだけど、『小沢さんでは総理はダメだね』って話になったんだ。政権交代するにしても、小沢はかえないとダメだ。あいつは元々自民党にも居たし、去年も新党をつくろうとしただろ。裏で動いたんだよ。俺は民主党に入れたっていいんだよ、政権交代賛成だよ。でも、党首はもっと若いフレッシュなのにしなきゃだめだよ。2番手、3番手が育ってないんだよな、あの党は。これは何歳なんだい?(私は「小山は32歳です、まだ未熟ですが・・・」)全然問題ないよ。国会はみんなでやるんだから、32歳で全然いいんだけど、小沢がトップにいたらダメだ。あれを変えないと。こいつはこいつで通ればいいけど、小沢がやっていたら、政権をとってもすぐに崩れるよ」
さて。
私はこの人は顔を見た瞬間にピンと来ました。典型的な大地主です。土地を所有する権利によって自分の力を守る人は「投票する権利」を大切にし、出し渋ります。けっしてヒトコトで「うん分かった」とは言わない。「俺に話がなかった」という理由だけで決定をひっくり返す町内会副会長にいるタイプです。そういう姿勢を代々続けてきたから、現在大地主なんです。庭に「品川300」ナンバーの高級車がとまっていました。この人の子供あるいはこの人自身が帰省中なのでしょう。
邸宅を後にし、広い庭を歩きながら、ゼンリンの住宅地図のコピーの余白にメモをとりながら歩いて門につきました。ここで振り返ったら、ご主人は私をずっと見ていたようです。とはいえ、見送ったわけではなく、私のお辞儀にこたえませんでした。情報を集めて、相手陣営に連絡しようという考えがあったのかもしれません。
この人は最後に頭を下げれば投票してくれるかもしれませんが、慎重に勝ち馬に乗ろうと情勢を見極めているのだと思います。こういった人の「小沢一郎論」はあまり真に受ける必要はないでしょう。
(私の感想) 自民党支持者も、ありとあらゆる話題で民主党代表のケチをつける。ところが、「昨年裏で新党をつくろうとした」という変な情報も入っている。彼は気付いていないでしょうが自民党支持者が「政権交代してもいいけど」と発言したうえ、大量の小沢情報を話す。前哨戦が民主党を中心に動いていることの裏返しです。
というわけで、全国の総支部長(現職含む)はこういう「初めからウンとは言わない人」の難癖を真に受けない眼力を養っていただきたいと思います。
3日間の感想。日本中が政権交代、小沢政局になっている、小沢さんの話題が浸透していると実感しました。タブーでもない。そうはいっても、小選挙区は個人名ですし、それはコアメンバーは百も承知。ただし、勝負を決める「最後の1万票」の行方がみえない。隔靴掻痒だし、ストレスにもなっているでしょう。それが小沢政局の本質だと得心しました。
「小沢一郎論」をドンドン話題にすべきです。でも、「政治が分かる」政権交代論者が「小沢さんのことは分からない」と言ったのは紛れもない事実でした。
→結論
初対面の人とも「政権交代後の首相のあり方」を話せる「小沢一郎論」のネタ(兵糧)を増やすためにも、小沢一郎さんはもっと色々な方法で説明すべきです。
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