
平成24年度予算が2012年4月5日(木)成立しました。
自民党総裁でシャドウ首相の谷垣禎一さんは成立直前の定例記者会見で「今回の予算は、交付国債という手法を使って、見かけの上では財政規律を維持したという形になっておりますが、マニフェスト破綻の認識もなく、バラマキ政策の見直しをしようという3党合意も誠実に履行しようとしていない予算であると思います」と述べました。
これについては、何事も初めが肝心、2月9日(木)の基本的質疑で、自民党の加藤勝信さん(次回は比例単独中国)が「交付国債の発行について、一般会計予算書の予算総則に対象として地方公務員共済が入っておらず、利息分は地方公務員が得になる。問題がある。年金交付国債の関連法案として、(平成24年度予算の)関連法案として消費税増税法案を国会に出してほしい」という趣旨の指摘(加藤指摘)をしました。中井洽・予算委員長も「承りました」としました。
「国民年金法改正案」(180閣法26号、現在も衆院厚労委にとめおき)が重要な論点になりました。平成24年度予算審査なのですから、地方議会のようにもっと単年度の歳出費目の議論をすべきだったと衆参の2ヶ月間の審査をふりかえります。年金交付国債を通じて、2014年4月に消費税率を改善する大綱や法案が論点となり、複数年度にわたる財政がテーマとなる「大局の議論」がなされました。社会党が政権準備政党だったころは、「リクルート」「自衛隊」など揚げ足取りの質問ばかりでした。野党・自民党は責任政党らしかった。ただ与党ボケもあり、与党内紛争で、総務省、厚労省、「3党合意の高校無償化」の文科省の政務三役が辞任したら、本予算審査には応じられないと審議拒否してもよかった。健全野党はのぞむところですが、自民党の政権50年のお行儀の良さについては、逆に与党ボケで野党になりきれていない気がしました。4月にずれ込んでいたから、腰が引けたのでしょう。突っ込んでも良かったのではないか。私は野党15年でいまだに「ガソリン値下げ隊」を評価し続けているから、私が野党ボケなんですかね。
参議院の審査はおおむね低調で、取り立てて印象に残るものはありませんでした。参院では組み替え動議(内閣が予算を撤回し編成替えする動議)も、修正案も出ませんでした。おとなしくしているということが参院全会派の賢い選択だったのでしょう。
先日、親しい地方議員がソーシャルネットワークサービスに、「きょう予算に附帯決議をつけて通しました」と何気なく書いていました。私は非常に驚きました。ソーシャルネットワークサービスで、「予算に附帯決議が付いたのですか?」と尋ねると、「国会にも附帯決議はあるはずですが」との返事。地方議会は二元代表制で首長部局が提出した予算(案)を審査します。国会は議院内閣制なので自分たちが選んだ首相(衆院議員)が提出した予算を審査します。首相は衆院多数党の党首なので、附帯決議をつけるという発想がないようです。参議院はねじれているので、参院自民党ら野党は附帯決議をつけるという発想があっていいのではないでしょうか。
例えば、これは京都市議会の平成20年度予算に対する附帯決議です。
[京都市会の平成20年度予算の附帯決議の全文引用はじめ]
(20年3月25日付帯決議)
1 国の「環境モデル都市」選定に向け,京都議定書発効の地として,特性を生かした先進的な取組を強力に推進していくとともに,地球温暖化対策の取組については,条例に掲げる目標達成に向けて全力で努力すること。
2 子育て支援対策として,その効果が大いに期待される妊婦検診の公費助成の拡充や3人目以降の保育料無料化などについて,次の肉付け予算において市長の強いリーダーシップの下,早期に実現すること。
3 平成20年度の予算は,骨格予算並びに早期に予定されている肉付け予算と合わせ,桝本市政を継承した門川市政スタートとなる極めて重要なものである。平成16年度から今日まで進めてきた平成20年度に終了する「第2次推進プラン」,「市政改革実行プラン」,「財政健全化プラン」の3プランはいずれも既におおむね目標を達成できているが,平成21年度までの「集中改革プラン」については,前倒しで早期の目標達成が求められている。
よって,理事者は,門川市政のスタートとなる平成20年度において,未来の京都の諸課題を見据えた市民協働の新たな仕組みを盛り込んだ都市戦略を構築するとともに,行財政改革等のあらゆる改革に不退転の決意で取り組み,次期基本計画策定への礎を築くこと。
(賛成会派)
1,2 全会派
3 自由民主党京都市会議員団,民主・都みらい京都市会議員団,公明党京都市会議員団
[引用おわり]
京都市のことは分かりませんが、1は「先進的な取り組みを強力に推進する」ということで、成立した予算書の歳出項目の執行に関して、しっかりやるように釘をさしているのだと思います。2は「子育て支援の予算措置について次の肉付け予算において、早期に実現する」とおそらく第1次補正予算(案)に計上すべき歳出項目を議会が示唆しているのでしょう。3は5カ年の長期総合計画(総計)の最終年にあたるので、市長が交代しても今年度は執行すべきだと担保したうえで、来年度以降の予算に向けた長期総合計画的なプランを策定するよう求めているのでしょう。
予算執行への注文、次期補正予算への要望、来年度予算の前提になる複数年度長期総合計画の策定の要望などがセットになっています。短い文章の中に、各会派の予算審議責任者・政策担当者や議会事務局書記の知恵が集まっている感じがします。
参議院や両院協議会は、こういった附帯決議をしっかりと知恵を絞ってやるべきではないでしょうか。
参議院自民党幹部の世耕弘成さんはツイッターで「今国会野党はただの一回も審議拒否をしていません。衆参予算委も淡々と例年通りの審議日程を進めてきただけです。暫定予算になったのは召集日判断を誤った政府与党の責任。」とつぶやいています。予算成立が14年ぶりに4月にずれ込んだことについて、参議院自民党への国民からのプレッシャーが強かったようです。テレビに映りますからね。ただ「召集日が遅かった」という玄人の発言よりは、「暫定予算が執行されています」「暫定予算を再び政府に組んでもらって、もっとしっかり審議したい」というのが野党の言い分としては良いように感じます。
両院協議会をインターネット中継できる場所に移して、予算書を見ながら修正や附帯決議の協議案をつくれなけば、国会なんていらない。
最後に報道に苦言。平成24年度の特例公債法案(180閣法2号)が衆院財務金融委員会に留め置かれています。そのため、一部報道で「財源の裏付けのない予算」という表現がありますが「財源の裏付けが半分の予算」と書くべきです。
新年度予算が成立 復興費など加え96兆7千億円(朝日新聞) – goo ニュース
2012年度予算が5日に成立した。午後の参院本会議では多数野党の反対により否決。衆院での可決と結論が異なるため両院協議会が開かれたがまとまらず、憲法により衆院の可決が優越された。新年度予算の成立が年度をまたぐのは14年ぶりで、衆院優越による成立は2年連続だ。
野田佳彦首相は予算成立後、「復興の予算も含まれ着実に執行したい。(消費増税と社会保障の)一体改革とか、これから様々な重要法案の成立を期さなければいけない」と記者団に語った。週明けにも野党に党首会談を呼びかける。 予算の一般会計総額は90兆3千億円。6年ぶりに前年度を下回るが、別枠の特別会計にした東日本大震災の復興費や基礎年金の負担分を加えると過去最大の96兆7千億円だ。年金財源は赤字国債とは別で、将来の消費増税分を返済にあてる「交付国債」でまかなう。
財源として38兆円分の赤字国債を発行する特例公債法案は、参院で多数の野党が賛成する見通しが立たず衆院で審議が止まっている。法案には予算のような衆院優越規定がなく、このままでは財源に穴があく。同法案をめぐる与野党協議も後半国会の焦点となる。
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