総理は年頭会見でふれた「世界で有名な6語」を思い出すときだ 一体改革会期内衆院通過へ

  • 2012-6-6
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 トニー・ブレアは1997年総選挙でセッジフィールド小選挙区で3万3526票の得票率71・2%の圧勝で4選し、勤続14年目にして初めての与党、それもいきなり総理大臣に任命されるためにバッキンガム宮殿を訪れた際、エリザベス2世女王からこう言われたそうです。「あなたは私が会う10人目の首相です。1人目はウィンストン・チャーチルでした」。エリザベス女王は当時45年目でした。今は60年目で、12人目の首相(保守党党首のキャメロン首相)。

 野田佳彦首相が「今国会での成立に政治生命をかける」としている一体改革関連法案。仮に会期末の混乱で、総辞職してしまえば、平成24年の天皇陛下は次の首相に、こう言うかもしれません。「あなたは私が会う18人目の首相です。1人目は竹下登でした」あるいは「あなたは私が任命する17人目の首相です。1人目は宇野宗佑でした」。 

 日本の失われた20年も当然としか言いようがありません。まさに100年前、漱石の「三四郎」に出てくる広田先生が日英同盟について、たったひと言「滅びるね。」と述べたことを彷彿とさせます。

 ところで、宮内庁は昨夜、三笠宮家長男の三笠宮寛仁(ともひと)親王が呼びかけに応じない状態だと発表しました。陛下のおじさんおばさんにあたる三笠宮さまご夫妻はご健在。次男の桂宮さま、3男の高円宮さま(故人)が宮家を創設されながら、長男の寛仁さまが宮家をご創設されていないのは、三笠宮家を継がれるから、というのが衆目の一致するところでした。皇室のあり方についても、総理に重責がのしかかります。その点では、映画「英国王のスピーチ」でのチャーチル首相のふるまいは立派だったと思います。ただ、あれちょっと脚色が強いという指摘があるようですが、やっぱりチャーチルはすごいと感じます。そして、第二次世界大戦の英雄として、1945年7月に解散するという分かりやすぎる戦術に出たチャーチル保守党をいったん野党に転落させながらも、その後、再度保守党に政権をやり、第2次チャーチル内閣をつくり、エリザベス2世の女王戴冠式を成功させた英国民の正直さが立派だと考えます。

 ◇

 報道によると、自民党幹事長の石原伸晃さんが、社会保障の安定財源確保のための税制抜本改革のための消費税など国税増税法案(180閣法72号)について、民自などの修正協議で、秋の税制改正に先送りすることもあり得ると示唆したそうです。これは歓迎したいところです。この後の、2012年6月5日(火)の自民党幹事長会見で、石原さんは「(税法の修正は)簡単ではないけど、わかっている者がやれば、難しくない」「私たちの社会保障の考え方は、基本法という形で既にまとめてあります。これが大前提ですが、これを乗り越えれば、税法の方は、社会保障のものほどは、手間はかからないのではないかという印象を持っています」「税の専門家として過去に修正協議等々をやった経験からして、社会保障ほど大変ではないのではないか、ということです」と語りました。

 おそらく実務者は野田毅自民党税制調査会長ということになるんだろうと思います。昨年の平成23年度の国税改正法の修正協議(民主党藤井裕久自民党野田毅公明党・斉藤鉄夫の各党税調会長)のときと、衆参の議会構成が変わらず、震災後であるという状況が変わらない以上、昨年と同じ結論を出すべきでしょう。

 石原さんは国民あっての国家だということをよく理解してハッキリモノを言う東京っ子の鑑といえる政治家だと信じています。

 いずれにしろ、かなり楽観的に考えていいと考えます。

 天皇陛下即位の礼を取り仕切った、海部俊樹首相は「回顧録」で、次のように振り返っています。

 「物事がまとまりかけると、自分の存在価値が低くなるから、つぶす。つぶすためには、横車でなんでもゴリゴリ押して、荒れるなら荒れるでよろしい。小沢氏は、そんなことを繰り返した。何かがちょっと育ってくるとゴツン、少し目が出始めるとゴツンと叩いてしまう性癖に、壊し屋という異名が付けられた」(162ページ)。

 そのうえで、「なぜ、あのタイミングであえて旧公明系にくさびを入れたのか、未だに私は理解に苦しむ。新進党は、文句を言わずにグッと我慢してみんなでやっていけば、いずれ政権が取れたはずだ。それなのに、小沢氏は自ら喧嘩を売った上、「このままではジリ貧になる。それなら解党だ」と極端に走ってしまった。(自民党)幹事長辞任に次いで二度目の逃亡。あれには私も、お前、またか。おかしな奴だな」としか言いようがなかった・・・・・・。こうしてこと志に反し、衆参214名でスタートした新進党は、3年余りで自壊した。求心力を発揮できなかった責任の一端は私にある。この場を借りて、改めてみなさんにお詫び申し上げる」(170ページ)。

 白ゆりは剛腕に勝る。6月は創価学会婦人部の月だそうですが、創価学会婦人部のみなさんは、「私たちが支援した新進党の資金はその後どうなったか」を国会で証人喚問を含めて徹底検証するよう、公明党国会議員をつるし上げ、突き上げたらいいと思います。

 昨日の衆議院社会保障と税の一体改革特別委員会で、自民党坂本哲志さんと民主党岡田克也副総理の間で、面白いやりとりがありました。結党以来、自民党議員は国会で派閥に言及することがほとんどありませんでした。政治倫理に関する審議では、たまに言及があります。坂本さんは、前日の内閣改造を受けて、本心から現在の日本の政府・内閣が心配で人事の質問をしたように感じました。だから、自ら「私は近未来政治研究会山崎派に所属しています」と述べたのでしょう。そして、小泉純一郎首相(自民党総裁)が同じ清和会の安倍晋三自民党幹事長を充て、総務会長、政調会長の派閥も挙げて、「初めて脱田中派に成功した」としました。これは野田首相民主党代表)もそういった気心の知れた人を民主党幹事長に充てるべきだという主張です。これについて、岡田さんは答弁の後に、「ところで、先ほどの話で余計かもしれませんが付け加えます」として、「あのとき、(野党第1党の)民主党幹事長として見ていましたが、総裁と幹事長は別の派閥から出すという長年の自民党の伝統(「総・幹分離の原則」)を破るということで、旧田中派支配から脱却したわけですが、同じ派閥から安倍幹事長を起用したことで、小泉総理は求心力を持つと同時に、自民党内に遠心力を内包してしまったことで、郵政政局で党が割れたと思っています」という趣旨の発言をしました。これに対して坂本さんは「だから自民党はぶっ壊すことにつながったんだ」と応じました。

 政策より前に、人事です。それが与党が内閣をつくる議院内閣制のすべてのスタートです。こういった党内派閥の話を自民党議員が国会でするようになったのも、政権交代の成果です。繰り返しますが、坂本議員が自分の派閥に言及したことは、彼が国のことを真剣に考えている証左だと考えています。

 与党では執行部への求心力が働き、野党では執行部への遠心力が働きます。だから、3年間常に野党だった新進党は遠心力が働き、ボロボロと離党者を出し、ついに解党しました。第45期衆議院の3年間を見ていると、野党である谷垣自民党が離党者を出さないのに、与党民主党から離党者が出るという逆転現象が起きています。しかし、小選挙区当選者の離党者(宮城2区の斎藤恭紀さんら)がいることを考えれば、単に考えが未熟なんでしょう。

 そこで、岡田答弁からすると、野田さんとは院が違う輿石東さんが民主党幹事長であることは、小泉自民党とは逆に党内に求心力を内包したと考えられます。しかし程度問題とはいえ、野田総理の求心力は下がります。第45回総選挙無効訴訟の最高裁違憲判決(ただし原告敗訴)を踏まえた定数是正(0増5減)ができていない状態で「政治生命を懸けた」会期末を迎えてしまったことは、野田さんが仰々しい言葉を軽々しく使うという本人の未熟さによります。解散はできても、総選挙は出来ない。それでは意味がありません。

 しかし、修正協議はまとまるでしょうし、会期内に衆院を通過するでしょう。野田総理は今国会の本予算審議中に一度も席を外してトイレに立つことがありませんでした。総理は我慢強いと私は思います。野田さんは輿石幹事長と二人三脚でやっていかなければ道は開けません。総理には、年頭会見で紹介した船橋高校の同級生から贈られた世界で最も有名な6語(Never Never Never Never give up) 。総理は船橋高校の歴史の授業で聞いたその言葉を忘れていたそうです。長い長い通常国会でまた忘れたかもしれません。総理は、会期末にあたりもう一度思い出して欲しい。

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