
[画像]午前8時10分スタートを示す、衆議院財務金融委員会の衆議院インターネット審議中継、2012年3月16日(金)。
国会はやればできる。
結論から言うと、「(与野党衆参問わず)決められない政治」批判、歳費・定数・助成金の「身を切れ」圧力が功を奏したのでしょう。きょうは午前8時台に4つの衆院の委員会がスタートするという珍事がありました。午前8時台に4つの委員会は、憲政史上初めてかもしれません。
イチバン早く午前8時10分に始まったのが、衆院財務金融委員会。トップバッターの自民党の村田吉隆さん(比例中国)は、当選7回勤続21年(岡田世代)ですが、「私も夜なべの審議は経験があっても、朝飯前(の審議)は記憶にない」としました。村田さんは大蔵官僚時代の衆院大蔵委員会からすると、40年ぐらい知っているかもしれませんが、そういうことだそうです。この日は毎年の日切れ法案「関税定率法改正案(第180閣法15号)」を審議しました。ただ、村田さんは「この法案だけで審議をするのも珍しい」と述べ、平成24年度の国税改正法案と特例公債法案と分離して議題にしたことが効率が悪いと、民主党側を諭しているように感じました。それも含めて、変動期だと感じます。関税定率法改正案はまだ本会議に上がっていません。
8時30分からは衆院沖縄及び北方問題に関する特別委員会。特別委は会期ごとに設置されますが、この委員会はここしばらくは、北海道と沖縄に関する立法措置が安定していたこともあり、第45期衆院では開店休業の印象が強かったのですが、沖縄本土復帰40周年なので、「10年間の延長法案」が2本かかっています。これも与野党修正協議が進んでいて、採決は来週になりそうです。ただ、自民党の秋葉賢也さんの午前8時台の質疑で、「10年前の法律から『開発』という言葉が消えました。沖縄を本土並みにキャッチアップするという必要が(以前より)なくなったからです」と述べました。秋葉さんは今回の任期は比例東北単独のコスタリカだし、こういう指摘は部会というよりも、秋葉さんがていねいに精査した中で出てきた質問に感じます。
8時40分からは、衆院経済産業委員会。こちらは昨年の第177通常国会で突然「再生可能(な自然)エネルギー全量固定価格買い取り法」が「辞任3条件」となり、俄然注目を浴びました。その一つ前の臨時国会では、下野した自民党議員から「今まで日本の大臣という中で、もちろん総理大臣が一番重い責任がある」「その次に、昔は大蔵大臣。そして経済産業大臣、通産大臣。とりわけ通産大臣という位置は非常に高い位置であった」「ところが、最近、通産大臣あるいは経済産業大臣というのは、なかなか影がもう一つ」との嘆き節がありました。こうやって与野党とも経済産業委員としての存在意義の危機感があったようで、きょうの公明党の佐藤茂樹さんは午前8時台に「昨年の再生可能エネルギー法案では、私は修正案提出者に名を連ねました」と元気はつらつとしていました。
8時40分から、衆院災害対策特別委員会もありました。ここでは、村井宗明委員長(民主党・富山1区)が「理事会協議が整いましたので、委員長提出で法案を起草します」として、「豪雪地帯対策特別措置法案(180衆法5号)」を読み上げました。こういう法案もなかなか衆議院ホームページには載らず、インターネット審議中継で聞き取るしかないわけですが、この法案は雪かき(除排雪)について、例えばNPOができるようにするなどの法案のようです。
先に午後12時10分からの衆院本会議に行きます。
厚生労働委員長が「雇用保険の基本手当の給付日数の特例を2年間延長する法案(180閣法9号)」を報告し、全会一致で可決しました。
次に、前日(15日)の衆院農林水産委員会で、吉田公一委員長が「理事会での協議が整いましたので」と提出した「特土法、特殊土壌地帯災害防除・進行臨時措置法を5年間延長(して65年間と)する法案(第180衆法3号)」を提案しました。民自公とも農水省政務三役経験者が理事なので、この人たちがまとめたような雰囲気でした。
次に法務委員長から、「東日本大震災の被災者のための日本司法支援センター(法テラス)の業務の特例法案(180衆法4号)」が提出されました。 今国会での「新法」の衆院通過は、日切れ法案(平成24年度の税制改正法案)を除けば、これが初めてだと思います。
そして、上で触れた「豪雪地帯対策特別措置法案(180衆法5号)」が可決しました。この法案は、災害特の雰囲気から、民主党の市村浩一郎さん(兵庫6区)が、自民党理事で元村長の長島忠美さんらとかけあった雰囲気でした。「衆災害特だから谷公一さんかな」と思ったら、自民党の谷さんは今理事ではないようです。 市村さんは当選3回で、もともとNPOに詳しく、与党では国交政務官を務めた両方の経験が生きたのでしょうか。
この辺の、修正協議がどの議員が頑張ったかというのは、委員会の雰囲気や、付帯決議の提出者、朗読者が誰かということから判断しています。なかなか大新聞でも取材しきれないところでしょうから、あくまでも私個人の雑感としてブログにしたためているわけです。ご指摘があれば、メールなどをいただければ幸いです。
午前8時と関係なく言えば、やはり、政権交代につながった「ガソリン国会」は自民党が時限立法というシンデレラの魔法を自ら間違えたことに鑑みれば、できる限り時限立法はやめていってほしい。その辺では雪下ろし法案は良かったと感じます。ただ、かねてから指摘されているように、1票が重い傾向がある地方部の事情が法律にスピーディーに反映されやすい傾向が感じられます。
法案の衆院通過を受けて、参院の農林水産委員会、災害対策特別委員会などは昼休みに、大臣の所信を聴取しました。この辺も、衆参合同審査会にしてしまうとか、新任大臣に限るとか工夫が欲しいところです。野党の見せ場にかかわりますが、修正協議で野党が活躍しています。もちろん、衆参与野党とも一部の議員に負荷が集中していますが、それ以外の議員の見せ場に必ずしも大臣が付き合う必要はないように感じます。
おそらくこれに先立つ理事会は午前8時前に始まったんでしょう。とはいえ、政調会部会が始まる時刻ですから、国会周辺ではさほど早い時間でもありません。そもそも震災前も震災後も24時間なら、震災後国会は時間を仕分けしないといけません。だいたい、民自公以外の政党が早朝に部会をやっていると聞いたことはありません。90年代の自民党議員は午前8時台の部会で役所が作った資料をもらって退席して3つぐらいはしごしたり、20歳代の私設秘書に大学ノートに傍聴メモを書かせてA4判1枚紙にまとめさせて提出させたりしていました。それは歳出が右肩上がりの利益の分配の政治における与党権力だったと思います。今は、民主党では、役人排除で行政改革を話し合っている部会もあります。時代が違います。そもそも自民党の早朝部会は、新聞を読まず朝飯を摂らずにやってきて、「喫茶リバティ」の給仕さんが出してくれるカレーライスを食べながら役人の説明を聞き、朝からテンション高く怒鳴っていました。それが下野した背景にあると感じます。私はこのブログを始めたのに、安倍晋三首相退陣騒動で国会傍聴記が書けない時期に「自民党のおいしいお水」というエントリーを書きましたが、あまり反応がありませんでした。しかし、ここに政権交代の最大の理由があったと思います。それはマニフェストよりも大きな理由だと思います。もちろん、民主党本部は借家で、社員食堂もありませんから、おいしいお水は初めからありません。
国会というのはよくできていて、有権者からの圧力をひしひしと感じて、きょうの午前8時台の4つの委員会開催になったのでしょう。定例日というのは申し合わせに過ぎません。例えば、日切れ法案が山積みの衆・厚労委なんかは、土曜日の午前5時から午後11時まで審議したっていいんでしょう。委員は差し替えればいい。社民党の阿部知子さんと共産党の高橋千鶴子さんは大変でしょうが、官僚だってその場で資料ファイルを開いて、答弁を作成すれば良いんです。そのくらいの意気込みを見せて欲しいと考えています。
それと与野党修正協議の実務者は、もっと「私が実務者です!」とアピールしたらいいと思います。今までにない仕事なので、自分を指名してくれた政調幹部に気兼ねしているのでしょうか。自分自身の経験からして、議員会館内で実務者協議をやっても、大新聞社でも人を張り付ける暇ないですよ。むしろ、経済部が担当する部署ならば、熱心な政策通記者が1人でしっかりフォローするかもしれませんが、政治部が担当している省庁所管の委員会なら、「私が実務者ですよ!」とアピール。法案ができたら何とか提出者に名前を載せ、本会議での委員長報告に自分の名前を載せるように委員長や事務局に働きかけて嫌がられるくらい。そのくらいやっても何も恥ずかしくない。与党になって大臣になって、「これから勉強します」とテレビ生中継で答弁する方が、100倍恥ずかしいです。
このほか、衆院厚生労働委員会では、「児童手当法改正案(第180閣法10号」が審議入り。0歳から15歳までのすべての子どもへの月1・5万円から0・5万円の児童手当(今年度の名称は子ども手当)が恒久化します。これについては、改めて書きますが、民自公3党合意では、子ども一人辺り「0歳~2歳は1・5万円、夫婦年収960万円以上は5000円」、「3歳から小学生までは1万円、第3子以降は1・5万円(加速度的支給)、夫婦年収960万円以上は5000円」、「中学生は1万円、夫婦年収960万円以上は5000円」となりました。年少扶養控除は一部見直しされます。これまでの子どもの手当も、児童手当法に乗っかり、年金特別会計の子ども手当・児童手当勘定から歳出されていました。改めてエントリーにしますが、控除から手当へ、子どもは家庭が育てて社会が支える、という2003年、04年、05年の民主党マニフェスト(すべての子どもに0歳~15歳に月1・6万円と年少扶養控除全廃)と市川市議会公明党が始めた児童手当の良いところがあいまったような感じです。選挙直前に根拠なく突然月2・6万円と1万円上げた2007年参院選の「小沢詐欺フェスト」は完全に否定されました。この民自公に加えて、参議院日本共産党、みんなの党(寺田典城参院議員)を巻き込んだ小沢詐欺フェスト修正劇は衆参ねじれの1年半で、憲政史に残る名場面となりました。法案もきょう審議入りしたばかりですし、改めてまとめます。
衆院財金委ではもう一つ私たちに身近な法案が審議入り。「中小企業金融等円滑化法(亀井・大塚法、中小企業と住宅ローン者のリスケジュール法)の1年延長案(第180閣法4号)」です。これはかなり評判の良い法律で、施行前は「リスケしてもらうと新規融資を受けられなくなるので申込者は少ないのではないか」との懸念がありましたが、実際には日本経済は成熟段階ですから、零細企業や住宅ローンを持つ人はどんどんリスケ(条件変更)をして、月々の負担を軽減して生活が楽になっています。金融機関も金融庁の検査があることもあり、最近では積極的に活用しています。このため金融機関を援助するために、「㈱企業再生支援機構法の当面延長案(第180閣法47号)」も審議入りしました。さらに「銀行の持株を買い取る法案を5年延長する法案(第180閣法5号)」も審議入りしました。ただ、亀井・大塚法が1年延長で、銀行の持株買い取りが5年延長なのか割り切れないものがあります。
とにもかくにも、国会改革が政治を国民の手に取り戻すことに一致することは間違いありません。なかなか言葉にできない、という有権者の方も、国会議員に向かって「歳費恒久削減しちゃうぞ」とひと言言える勇気だけ持ちましょう。「維新」を求めているほど余裕がありませんから。
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