9月以降とみられる、米国の段階的金利上昇に対して、現在超低金利政策を誘導する日本銀行が為替水準について想定していない、という驚愕の答弁が、岩田規久男副総裁からありました。
参議院財政金融委員会が平成27年2015年8月4日(火)に開いた一般質疑で、民主党の風間直樹さんの質疑に答えました。
日本の金融緩和政策の出口(緩和の段階的縮小)について、岩田さんは
●日本の金融緩和の出口では、ETF、J-REITの時価が簿価を下回り、保有国債の利回りが当座預金の付利を下回り逆ザヤが生じる可能性ーー日銀副総裁。
「買い入れたETFやJ-REITの下落で時価が簿価を下回るかもしれない」と語り、日銀が持つ、ETF(イーティーエフ、上場株式の投資信託)とJ-REIT(ジェイリート、不動産を証券化したものの投資信託) の時価が簿価を下回る可能性がある、と蕭然としながらも、平然と語りました。
また、
「多額の超過準備を保有しており、出口にあたり、保有国債の利回りが付利金利を下回って逆ザヤになる」
可能性に言及し、日銀が持つ国債の利回りが、日銀当座預金の利息である付利(ふり)を下回る見通しを示しました。付利は年0・1%で、国債の長期金利(10年物)は年0・4%前後ですが、実際に日銀が保有するのは10年より残存期間(きょうから満期までの期間)が平均数年程度とみられます。岩田さんが言っているのは、利率が逆転するということではなく、おのおのの利息の総額が逆転し、日本銀行から見て、マイナスの収支が続くことになる、ということを言っているのだろう、と私は考えます。
●米利上げの影響、「想定していない」--日銀副総裁。
風間さんは米利上げにも言及。
岩田さんは「リスクを感じていない」と断言。
拍子抜けした風間さんがなおも追求すると、岩田さんは「円安要因になると思われるが、市場が既に織り込んでいれば、円安にならないかもしれない」としながらも、
「市場がどこまで織り込んでいるか、私からは分かりかねます」と平然と答えました。
風間さんが「驚くべき答弁の連続だ。日銀の副総裁がこういった認識で大丈夫なのでしょうか」と問うと、
岩田副総裁は「今やっている金融政策は物価安定(物価上昇、リフレ)を目的にやっている」とし、「各国の中央銀行は、金融政策を物価安定のためにやっています、アメリカは雇用拡大もありますが。それはG7の一致した見方だと思います。為替水準は市場が決めるものです」
と繰り返しましたので、どうやら日銀の考え方のようです。
●学生の就職難は金融政策が解決できると思っていたーー岩田先生。
この後、日銀の出口について、風間さんが「いずれ日銀のETFを売却するタイミングも来る。株価の下げ圧力になるのではないか」と問うと、岩田さんは「ETFを今後どうするかは決めておらず、いわば出口戦略に当たるので、答弁するのは時期尚早だ」「内部ではいくつかシミュレーションしている」と答弁。どうやらこのシミュレーションはしているようです。
日本の金融緩和が、米FRBの緩和段階的縮小(テーパリング)をリレーしたものではないかとの観測が支配的になりつつありますが、アメリカから日銀への圧力について、岩田さんは「ありません」ときっぱり否定しました。
そして、リフレ政策を唱える論文を書き、黒田東彦総裁体制の日銀副総裁になった理由を問われた岩田さんは「学生の就職氷河期を目の当たりにして、就職面接を何度受けても、受からない。それを金融政策で解決できるんだと思った」と語りました。
金融政策は日銀の専権事項であり、これによって、政権が交代することは望ましいことではありませんが、その深層にはなります。岩田副総裁の話を聞いて、「どーんといこうや」という気にもなりますが、後始末を民主党政権がするという予断をもって、備えるべし。
民主党の岡田克也代表は、6月の記者会見で、出口戦略について、民主党が早めに検討を始めることを表明しています。
2015年6月12日(金)
【フリーランス・宮崎記者】
今週、日銀総裁の発言で、数十分の間に円が対ドルで2%程度価値が上がる変動があり、それから長期金利が0.5%を超える場面もあった。水準については伺わないが、こういった円-ドルや長期金利の変動性・不安定性について、今後の日本経済、世界経済も含めて、どう捉えているか。アメリカの利上げも予想されているが、アメリカの利上げに関して関心を持っておられるか。
【代表】
為替の話は、具体的な水準の話はいたしませんが、円安のデメリットということを最近よく聞くようになりました。どんどん円安が進んでいくことは、日本経済にとっても決して好ましくないと思います。
それから金利の話ですが、アメリカの金利はともかくとして、日本は今、金利を低い状態に留めるために日銀の金融緩和政策がなされているが、やはり出口というのは非常に気になります。もちろん、それはまだタイミングとしては早いと思いますが、はたしてどういう出口を考えておられるのだろうか、やや気が早いと思われるかもしれませんが、気になるところであります。
これだけ大量の国債を買っている、そのことによって金利は低く抑えられているが、それがどこまで続くのか。どうやって出口、つまりそういう金融緩和から方向を変えていくのか。その時に何が起こるのか。きちんとマネジメントできるのか。そういったことは非常に大きな課題で、党の中でもそういう議論をしっかり、専門家の意見も聞きながらしていかなければいけないだろうと私は思います。
[引用おわり]
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