「武器輸出庁」成立 防衛装備庁を設ける改正防衛省設置法「死の商人」へ産業・科学史で歴史的転換

  • 2015-6-10
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[画像]参議院インターネット審議中継からスクリーンショット

 参議院本会議は平成27年2015年6月11日(水)、防衛装備庁を新設する改正防衛省設置法(189閣法33号)を採決し、民主党共産党の反対、自民党公明党と維新の党の賛成多数で可決し、成立しました。近く公布され、10月1日(火)に施行されます。

 1951年の岩波新書「死の商人」(岡倉古志郎)が現実になりました。

 防衛装備庁は、過去の調達の不祥事による機構改革とはまったく違います。

 昨年4月1日(火)に自民党公明党連立の第2次安倍内閣閣議決定した「防衛装備移転3原則」によって、防衛装備品(武器)を輸出したり、共同開発したりする「経理装備局装備グループ」を中心に技術研究本部(技本)や、陸海空の幕僚監部が調達を扱う官庁です。

 先々月4月9日(木)に成立した「平成27年度予算」によると、防衛装備庁は職員数1780名の巨大官庁で、そのうち407名は自衛官(制服組)=一般会計予算書1073ページ参照=。初年度は6か月分ながら、697億円の予算がすでに手当されています=同1036ページ参照=。

 引き合いが来ているのは、英国から川崎重工業製の「P1(ピーワン)」で、現在は3機しかありませんが、今後量産されます。特許は防衛省が持っているため日本の利益率は高いと考えられます。

 インドからは特殊救難飛行艇「US-2(ユーエスツー)」で兵庫県宝塚市に本社がある新明和工業が製造。これも特許は防衛省が持っています。この開発を巡ってはかつて富士重工業社長や自民党衆議院議員(自殺)が逮捕されたこともあります。US-2は、インド軍は、戦闘機・爆撃機・輸送機のパイロットの救出用に使うかもしれません。

 準同盟国といえるオーストラリアからはそうりゅう型潜水艦(三菱重工川崎重工が相互に製作)の共同開発の話がありますが、他国にも声をかけているようです。

 これらは殺傷兵器ではなく、各々の国の個別的自衛権に資するものです。ただ、今後は、弾薬(小松製作所など)、機関銃(住友重機械など)などの輸出も可能になります。

 これを裏打ちするために、衆議院の委員会では、安全保障法制2法案(189閣法72号・189閣法73号)が審議され、地球の裏側まで、弾薬の補給や、武器の輸送ができる体制を第3次安倍内閣はつくろうとしています。

 防衛産業は、東京証券取引所で株式が売買されている会社が多いのですが、法律の成立を見越した売買が昨日までにされていたものとみられ、きょうの取引では、利益確定の動きが出て、株価は下落する特徴が出やすい傾向がありますが、きょうの取引にも注目してみます。

 平成になってから、日本の造船業、飛行機製造業は、中国、韓国に追われ、売上高はかろうじて上位になりながらも、小型の受注が中心で、利益は逆転されていると思われます。民生部門では、三菱の「MRJ」の完成が遅れ、宇宙開発研究機構のH2Aロケットも量産ペースが遅く納期がかかることから受注が難航していることから、武器輸出へと踏み出す、戦後70年間の、産業史、科学技術史で最大の歴史的転換となりました。残念ながら、人間に欲望がある限り、流れを止めることはできません。 

以上
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015

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