【国会傍聴記】“英米脳”議員vs“日本脳”議員という構図


投稿日時 2007-11-29 23:30(写真は牧山ひろえさん=民主党ニュース)

 記事化が遅れてしまいました。2日前の参院外防委の傍聴記なんですが、エントリになりにくいのですが、ちょっと歴史を感じちゃいました。
 

【国会傍聴記 2007-11-27 参院外交防衛委員会

 前回の会議で、民主党浅尾慶一郎さんが趣旨説明した「イラク特措法廃止案(イラク撤退法案)」を審議しました。

 民主党の牧山ひろえさん(神奈川選挙区)、自民党佐藤正久さんの両新人が質問に立ちました。

 結論は、質疑終局後、民主党日本共産党社民党の賛成多数で、イラク撤退法案は可決されました。 

 で、きょうの質疑。

 「ねじれ国会」としてみると、分かりにくい。ぐちゃぐちゃになる。

 「自民党vs民主党」としてみると、分かりやすい。やはり二大政党制がいい。

 で、この日本における二大政党制なんですが、きょうは別の構図にみえてきました。

 あくまでも、きょうの審議を見る限り、

 民主党       vs 自民党         が

 英米脳(英語脳)vs 日本脳(日本語脳)

   の構図になっていることに気付きました。

  ◇

 で、この先は「世代間ギャップ」どころか、「社会の分裂」もはらむ深刻な問題提起がありますので、読みたくない人は、別のエントリに飛んでください。

○登場人物の紹介

 民主党側。質問者の牧山ひろえさんは、英語による教育では日本の老舗中の老舗、国際基督教大学(ICU)から、東京放送(TBS)ディレクターを経て渡米。トーマス・クーリー法科大学院を出て、ニューヨーク州コネチカット州の司法試験に合格。ニューヨークの法律事務所の弁護士や、松竹、ソニーの法務室の勤務経験あり。

 答弁者の犬塚直史さんは立教大卒、ダラス大学大学院でMBA(経営学修士)、日米仏の職業紹介会社、エバホテル・ワイキキ経営、NPO法人設立に参画した起業家。バイクで全米一周し、奥さんは仏出身(ホームページから)。

 牧山さんも犬塚さんも転職経験が多く、米国で高等教育も受けている。


 一方の自民党。防衛相の石破茂さんは、慶應大学から三井銀行員を経て20代で衆院議員。その後ずっと連続当選しています。

 佐藤正久さんは防衛大学校陸上自衛隊一等陸佐で退官、参院議員。

 石破さんと佐藤さんは「転職経験は1回」ということです。

○さて、本題。

 牧山さんは山田洋行の水増し請求(偽見積書)に関して、米国の軍需産業に注意を呼びかける文書の英訳を委員長名で送付することを提案し、質疑を切り出します。こんなの初めてみました。大物かも。

○「非戦闘地域」は「安全でない」

 イラク特措法といえば、「非戦闘地域」です。この「非戦闘地域」について小泉内閣の法制局長官は「官僚文学の傑作」と自画自賛しました。

 牧山「政府は非戦闘地域だが、危険だと認識しているのではないか?」との質問に石破さんは豊富な閣僚経験で培った“日本語力”で「非戦闘地域」を答弁。

 牧山さんは
非戦闘地域ならば、航空自衛隊ではなく、民間機でもいいのでは?」との質問を石破大臣はかわしますが、

 石破「安全であれば民間機でいいというのなら、その通りだ」
 牧山「安全でないということはよく分かりました。次の質問に移りたいと思います」
と切り返して、次の質問に移ります。第1ラウンドは牧山勝利。

○牧山「“KY”?」に石破“逆ギレ”

 牧山「守屋事件の最中、石破防衛大臣とゲーツ米国防長官がにっこり微笑む写真がいまだにホームページにのっている防衛省は“空気が読めない”のでは?」

 石破「あなたもいずれ、大臣をやれば分かるだろうが、大臣が一つ一つの写真まで指示しているわけではない」

 これは牧山さんの“KY”挑発に、石破大臣が“逆ギレ”してしまったように感じました。

 牧山さんの交渉術のうまさには、グローバル化とIT化の中で、50歳の石破さんですら旧体制にみえてきました。

 牧山さんは初質問で、石破大臣に勝ったと言えるのではないでしょうか。

○「本質論」を語ることが“はぐらかし”になる国会審議

 佐藤正久さんは自民党ですから、ここで攻守交代です。
 民主党の担当割りは分かりませんが、ここでは犬塚さんが答弁しました。

 佐藤「イラク撤退法案のあと、新テロ特措法案の対案を出すのかどうか?」
 犬塚「そこまで考えていない。これはあくまでもイラク撤退法案の審議なので、その話をする」

 という趣旨のやり取りが繰り広げられました。

 頭に浮かんだのは、田中角栄衆院議員が自動車税道路特定財源)について議員立法をし、提案者として答弁したときのエピソードです。
 角さんは「えー、インドにおける国民ひとりあたりの年間の道路整備費は☆ドルでございまして・・・
 と答えたそうです。
 インドの道路整備費と日本の自動車税法案に何の関係もありやしません。角さんが数字に強かったのは有名ですが、こうやって上手にはぐらかして、法案を成立させ、現在も残っているわけです。

 が、今日の犬塚さんは「あくまでも法案の審議をしたい」と答弁したわけです。一方の佐藤さんは委員会の議事録では、まだ法案提出の趣旨説明すらされていない法案について聞いている。

 犬塚さんの「本質論」が、一種の“はぐらかし”答弁になった格好です。
 これは「ねじれ国会」の果実だし、ずっと続いてほしいですよね。

 ただ、日本社会での世代間ギャップが深刻であることの裏返しかもしれません。まずはもっと話しやすい社会にならないとニッポン沈没です。

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民主党ニュース】

 同日午前より法案への質疑が行われ、発議者の浅尾慶一郎『次の内閣』ネクス防衛大臣らが答弁席に着いて質問に答えた。民主党・新緑風会・日本からは、午前に牧山ひろえ議員が、イラクの現状や防衛省の体質、イラク特別措置法の廃止法案について質した。

 牧山議員は、イラクでの航空自衛隊の活動について、危険だという観点から民間ではなく、自衛隊が輸送にあたっているのではないかと質した。石破防衛相は「非戦闘地域ではあるが危険は存在する」と答えた。牧山議員はまた、防衛省の一連の不祥事に関する謝罪が、同省のホームページにさえ示されていないことを挙げ、給油艦「ときわ」の航海日誌、謝罪文を掲載するよう求めた。防衛相は「国民の問題意識に応えるようにしたい」と答弁した。

 牧山議員はまた、イラク大量破壊兵器が一切なかったことを指摘した上で、党の法案提出者にイラク特措法の根拠について質問。浅尾慶一郎ネクス防衛大臣は 「イラク戦争大義はなく、非戦闘地域は虚構の概念。一瞬にして戦闘地域に変わるのがイラクの現状。憲法に抵触する恐れがある」として、本当にイラクに とって必要な人道復興支援とは何か、イラク戦争は何かを考えるためにも、自衛隊を撤退させるためにイラク特措法は廃止すべきと訴えた。

 午後に入り、各党からの質問が終了した段階で、北澤俊美委員長が質疑終局を宣言。討論では、共産党社民党より賛成の意見が表明された。北澤委員長は賛成者の挙手を求め、賛成多数によって法案は原案通り可決された。

【参考:法案の正式名称】
イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案」

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