「自分のために何ができるかではなく、次世代のために何ができるかを考えよう」古川元久さん 政府4演説

  • 2012-1-24
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[写真]経済財政政策担当大臣の古川元久さん

【2012年1月24日(火) 衆参本会議 政府4演説】

 午前10時から参院本会議、午前11時から衆院本会議で各々、院の構成を決めました。参本では新議員の玉置一弥さんが紹介され、以前とさして変わらぬお元気そうな姿を見ることができました。

 正午から、両院合同の開会式がありました。ちなみに帝国議会では開会式から会期を数えましたが、国会では召集日から会期を数えることになっています。開会式が3日目ぐらいに開かれる国会があるのはこのため。今回はきっちり召集日にやりました。

 この後、政府4演説がありました。朝からテレビ欄を見て、不思議でした。きょうは、国会に平成23年度第4次補正(よじほせい)に加えて、平成24年度当初予算案も同時に提出されたので、一気に政府4演説ができたようです。これで審議日程はだいぶ楽になりました。補正をやると支持率は上がりますから、ホップ、ステップ、ジャンプで消費税政局にのぞんでいきたいところです。

 野田佳彦首相の施政方針演説、玄葉光一郎外相の外交演説、安住淳財務相の財政演説(本予算を先に説明してから補正を説明)、そして、古川元久国務大臣の経済演説がありました。

 このうち印象に残ったのは、古川経財相(内閣府特命担当大臣・経済財政政策担当)の経済演説です。古川さんは46歳、連続当選5回(愛知2区)、勤続15年3ヶ月です。

 古川さんは、「経済財政政策を担当する国務大臣としてその所信を申し述べます」と話を切り出しました。私の記憶する限り、経済演説というのは、経済見通しの数字の羅列だった気がします。「所信を申し述べます」という演説は新機軸ではないでしょうか。と思って、調べたら、過去の経済演説も「所信を申し述べます」で始まっていました。とはいえ、古川演説は能動的な経済を底上げする方向性がしっかりと盛り込まれているのでホントウに「所信を申し述べます」にふさわしい演説だったと思います。演説はていねいにまとめられた力作でした。

 古川さんは「社会のあらゆる場面」での「イノベーション」を打ち出し、ソニー創業者の井深大(いぶか・まさる)さんが「企業にとって必要なのは発明より革新なのだ」と言っていた、という意外なエピソードを紹介します。そして、「わが国が主要な貿易相手国との間で、高いレベルの経済連携を強力に推進し、人や物や資金の交流を強化することはイノベーションの喚起につながる」と、野田内閣の重要なテーマであるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を惹起させるセンスの良さを示しました。

 さらに「南北に細長い国土の多様性と各地で各地で活躍する中小企業の厚みは日本の強み」だとしてそこにイノベーションの種があるとしました。私はこれまで、南北に細長い国土と各地域の中小企業の関係を考えたことはありませんでした。その辺の実例をもっと知ってみたいと感じました。そのうえで、復興特区と総合特区に話をつなげました。

 近江商人の「三方よし」と渋沢栄一の「論語と算盤(そろばん)」に代表される企業の倫理性、社会との共存、持続可能性に言及しました。私は会社員の経験がありますが、私が勤めていた会社にはありませんでしたが、開国の地、横浜の主に二代目から三代目の社長はそういった感覚をしっかり持っていました。そういったわが国の特徴が、わが国の安定性、健全性につながっている。欧州債務危機のなかで、わが国の国債が買われ、長期金利が下がっている、痛し痒しですが、それもそのおかげだと考えます。大震災からわずか10ヶ月ですが、わが国は安全性で、アジアの成長を取り込み、立ち直れると考えています。ただ、私は「三方よし」というのはあまり知らないので、これを機会に調べてみましょう。

 古川さんは落ち着いた口調で「わが国は何度も国難というべき状況に直面し、そのたびにそれを克服してきました。我々日本人の精神構造は柔構造です。しなっても折れることなく元に戻る。そして元に戻ったときには、苦難を経験した分、以前よりさらに強くなっているのです。まさに私たちは、日本という国の底力を世界に示す好機にあると言えるのではないでしょうか」とピンチはチャンスという心強い姿勢をみせてくれました。そのうえで白洲次郎の文章とケネディの就任演説をもじって、「自分のために何ができるかではなく、次世代のために何ができるかを問おうではありませんか」と語りました。

 次世代のために何ができるか。それは野田首相が「不退転の決意」で取り組んでいることです。古川さんは良くも悪くも「オリミンらしい」人で、大いに名を挙げた金融新人類のイメージが強かったのです。正直言って、ややひ弱なイメージを現在まで引きずっておりました。しかし、選挙を経るごとに力を挙げ、そして与党として、意外にも初の入閣でしっかりとたくましさを増しているのだときょうの政府4演説の1人としての演説で感じました。つくづく選挙は政治家を強くするんだと感じます。民主党税制も、第44期衆議院藤井裕久さんが落選していた時期(長浜博行さんの2007年7月の参院転出で衆院比例南関東で藤井さんが繰り上げ当選)を含めて、古川さんが支えてきました。そういった古川さんの底力をきょうの演説で感じることができました。そして、日本の正念場として、「何度も国難を克服してきた」ことはアタマでは分かっていましたが、政府4演説で聞けたことは大いに安心感を持ちました。

 これに先立ち、総理は初の施政方針演説にのぞみました。国会冒頭の演説は早くも3会期目になりますが、通常国会冒頭の施政方針演説はこれが初めてです。


[画像]施政方針演説する首相の野田佳彦さん、2012年1月24日、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 野田さんは「与野党が信頼関係に立って」という4年前の第169通常国会での福田康夫首相(自民党総裁)の言葉を引用しながら演説をスタート。衆参ねじれの苦しさを感じさせました。そして、「民主党内の政治家の熟議」で一体改革の素案をつくったので、与野党協議に応じて欲しい、とさっそく演壇から呼びかけました。「深刻なイデオロギー対立をはらむものではない」として「今こそ政局より大局を見すえようではありませんか」と述べました。

 復興庁や復興特区など、「復興を進める道具立てができました」としたうえで、東北に3回行って、「どこに行ってもどこか懐かしい郷愁がいたします」としました。私も同感です。東北の復興は東北らしい自然との共生への回帰をめざして、東北にそぐわない大規模な都市再開発はやめてほしいと考えます。

 総理は、第179臨時国会で、「公務員給与8%削減法案と郵政改革法案が大きな考えの違いがなかったのに成立しなかったのは残念だ」と野党を挑発しました。

 このほか、玄葉光一郎外相が外交演説、安住淳財務大臣が財政演説をしました。


[画像]外交演説をする玄葉光一郎外相、2012年1月24日、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 玄葉さんは「最近サウジアラビアで日本の礼儀正しさを紹介するテレビが放送されたら訪日ビザが3倍になった」という風に様々な情報を盛り込み、有益なものでした。しかし、玄葉外交の背骨が見えてこず、物足りなさと冗長さがありました。

 
[画像]第4次補正予算と平成24年度当初予算に関して財政演説する安住淳財務大臣、2012年1月24日、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。 

 財政演説では、平成24年度当初予算案の説明をしてから、平成23年度第4次補正予算案の説明をしました。

 国務大臣の演説に対する各党の代表質問はあさってから。衆院では「新党きづな」(内山晃代表)も質問するようです。来週月曜日まで参院本会議で代表質問がありますので、月曜日のうちには衆院予算委員会で4次補正の趣旨説明があり、審議入りできればいいですね。

 きょう国会に提出された平成23年度第4次補正予算案は
http://www.bb.mof.go.jp/hdocs/bxss010bh23.html

 平成24年度当初予算案は
http://www.bb.mof.go.jp/hdocs/bxss010bh24.html

 のリンク先からpdfで読むことができます。

 「解散含み」だの「日を追うごとに与野党対立激化は必至」だの言われるときほど、国会は意外に安定するものですが、きょうはなかなか良い演説で安定感があり、楽しかったです。第180通常国会、まずは良いスタートを切れました。
 

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