
政権交代選挙時の自民党幹事長であり、グッドルーザーだった細田博之さん(島根1区)が2012年5月3日(木・祝日)憲法記念日の午前7時過ぎにこのようにツイートしました。
「今日は憲法記念日です。昨年3月に衆議院の小選挙区人口較差につき違憲判決が出て一年以上経つのに法律改正出来ないのは国会の怠慢です。私の0増5減案しか現実的な案はありません。早く新区割を決めてその後比例定数の削減を合意すべきです。」
まったくその通りです。ちなみに、定数是正と選挙制度改革についての各党協議会では、「0増5減」は「細田案」と呼ばれました。現時点ではすでに議論の遡上にはありませんが、6増6減は石井案、5増9減は平岡案と呼ばれました。石井案は石井一元自治相の案。これには味噌があり、6増6減を仮に7増7減にすると、岩手県が1減になるという計算。言葉の問題ですが「岩手4区廃止」という意味合いにもなり、ピンさんが小沢一郎さんを牽制しながら恩を売るという政治的意味合いもありました。5増9減は、平岡秀夫さんが総務副大臣のときに、衆院議員として出した案です。
例年5月3日付けの新聞は憲法特集になります。連休がネタ枯れという背景もあります。あまり好きではありません。私は学生時代(1992年~1997年)は、憲法改正(自主憲法制定)という持論を述べるだけで、「好戦論者」と決めつけられた苦い経験もあります。しかし、今思えば、私は正しかったし、周りは遅すぎた。
朝日新聞は、一面トップで「一票の格差 違憲状態のままなら 総選挙反対53% 本社世論調査」で見出しを取り、ワキに論説主幹が「投票ボイコットさせる気か」と寄せました。私には、「樽床辞めろ!」という見出しに見えてきます。昨年3月の平成22年(行ツ)129 選挙無効請求事件 平成23年3月23日(水) 集民 第236号249頁によると、内閣府衆議院選挙区画定審議会設置法の第3条(とくに第2項)に定めた「47都道府県に1議席ずつを基礎配分する1人別枠方式をとった上で、300小選挙区を1票の格差2割以内にする」という条文そのものが憲法違反(第14条、特に第1項の法の下の平等)だと断定して言います。これは第44回総選挙の判決文にはなく、踏み込んだ判決です。私は衆議院解散は日本国憲法第7条天皇の国事行為なので、いかなる場合でも、「統治行為論」により違憲にはならないと考えます。しかし、選挙が全体ないしは選挙区ごとに無効になる可能性があると考えています。
日経新聞28面では東大教授という素晴らしくも肩が凝りそうな肩書きを持つ長谷部恭男さんが「訴訟が提起された選挙区ごとの選挙を無効にするかどうか。これまでは事情判決の法理を用いて無効にしなかった。今回は同じ判断をすると決めてかからない方がよい」と警告しています。
最高裁判決の原告(あくまでも裁判上は敗訴)は、山口邦明さん、森徹さん、三竿径彦さんが原告およびその代理人弁護士、それと野々山哲郎さんが原告として名を連ねています。全員弁護士でしょう。そして、第45回衆院選における、東京2区、東京5区、東京6区、東京8区、東京9区、東京11区、東京12区、東京18区の開票結果を無効とするように求めています。ここで、上に書いた長谷部教授らコメントを求められる司法・学識経験者がおそらく念頭においていないことを書きます。第46回衆院選では、これらの選挙区の当選人は、あくまでも仮定として例えば、菅直人さん、石原伸晃さん、太田昭宏さんらになる可能性があります。その時点で、民自公の党首経験者である可能性ああります。さらにあくまでも仮定として、第一党の党首が当選無効の判断を待たなければいけないことになるかもしれません。石原さんのことです。政治的に、首班指名選挙をする衆参本会議の設定が難航します。公明党では、太田さんが返り咲いたのに、当選無効に関する審査になると、支持者内で動揺が広がるでしょう。中には「第45期衆議院の与党による差し金だ」という人もいるでしょうが、「いや、冷静に司法判断を待つべきだ。そもそも太田さんは現党首ではない」などと創価学会内でも意見が割れる。要するに、ぐちゃぐちゃになるということです。定数是正問題は憲政のかすり傷ですが、ばい菌が入って全身に毒が回りかねません。
この問題に関しては、定数是正と選挙制度の抜本改革を同時に審議する各党協議会の自民党代表者・細田博之さんの意見に、私は全面的に同意しています。公明党の東順治さんの「抜本改革を同時にすべきだ」という駆け引きもいい加減に旗を降ろさないと、北九州出身の東さんは「国会の工藤会」と呼ばれてしまうでしょう。そして、何よりも、自分の落選を危惧して解散を先延ばししているとされる大阪12区(寝屋川市、大東市、四条畷市の3自治体)選出の樽床伸二さん。彼は現時点で政治家失格。彼の第46回衆院選の新区割りでの落選は当然としても、後半国会での一体改革関連法案の審議での衆参・与野党・党内外を問わず、野田総理(民主党代表)の求心力が下がることを危惧します。野田佳彦さんは樽床さんを解任すべし。
ところで、衆参に設置されている倫選特の幹部は、村松岐夫会長ら7人からなる内閣府区割り審は2010年国勢調査と0増5減にもとづく新区割りをすぐに発表できるよう準備しているのではないかとの見通しをもっています。区割り審設置法第3条の削除と公職選挙法の0増5減修正の2法案を衆参で可決・成立させたら、そこから2ヶ月間で解散可能になるのではないかとの展望をもっているようです。ただ、そうだとしても、連休明けすぐに法改正しても、一体改革関連法案の衆院採決時には間に合わない可能性あるでしょう。やむを得ず、野田さんは「樽床切り捨て」をカードとしてちらつかせる時期が近づいています。私は野田さんの背中を押します。私は自宅で朝ご飯と新聞さえ摂れれば、一日中、国益の方を向いています。藤井裕久さんや、自民党の細田さんも賛同するでしょう。また公明党幹部も黙認するでしょう。
第45回衆院選(2009年8月30日)の各党の幹事長は、細田博之さん、岡田克也さん、江田憲司さんと、バブル期に通商産業省(経済産業省に改称)に務めていた経験者が3人もいました。やはり、お金に対して適切な距離感をとれる人物が多いのかなあと感じます。通産官僚というのは、22歳にして大企業の社長から深々と頭を下げられるそうです。さらに特許、外交、防衛などに関連する仕事もできる。そして何より比較的帰宅が早い。そのため国士が生まれやすいとされ、大分県知事だった平松守彦さんの「一村一品運動」はタイの国策にも取り入れられ、その後、自治省出身者をしのぐ勢いで経産省出身知事(元地区の経産局長が中心)が続出したこともあります。
選挙博士の異名を持ち、現在も自民党政治制度改革実行本部長である細田さんの提案。定数削減は第47回衆院選に持ち越すべき。まずは0増5減です。憲政のかすり傷を放置していると、化膿して、体全体が壊死するかもしれません。樽床問題をもっと深刻に考えるべきです。
戦中生まれの細田さんのつぶやきは、ことし7つ目。現在細田さんのTwitterをフォローしている人は、450人ほど。官房長官として仕えた首相の福田康夫さんの群馬4区の対抗馬で1期生の三宅雪子さんの50分の1。その細田さんの憲法記念日早朝のつぶやき。細田さんは衆議院本会議場の演壇の演説するとき、やたらテンションが高くて意外性を持たれることがあります。私は大演説以上に、細田さんのつぶやきを重く受け止めたい。
なお、0増5減は、山梨、福井、徳島、高知、佐賀の各県で定数が1つずつ減ります。偶然の一致ですが、5県とも全2区になります。このうち、山梨、徳島は民主党が強く、福井、高知は自民党が強い。佐賀は博多よりの佐賀市などでは民主党が堅調ながら、唐津・東松浦半島では逆に民主党が候補者擁立すら出来ない状態が続いており、民主党と自民党が痛み分けの良い案です。これにより、300のうち47を占める「基礎配分・1人別枠」は廃止され、300を1票の価値2倍以内で、2010年国政調査(平成の大合併による自治体再編含む)に基づき、区割りを変更します。
「定数是正」と「定数削減」はまったく別の話です。あろうことか、政治家、新聞記者、オピニオン・リーダー層にも「定数是正」と「定数削減」を混同している人がいる現状は極めて遺憾です。例えば、「TPPに賛成か反対か」という議論よりも区割りの問題は100%優先すべき議論です。なぜなら、国論を決めるルール作りにおける議論ができない人に、国際社会におけるルール作りに関する議論を組み立てられるわけがありません。ワールドカップで「ルールが分からなかった」と敗因を語れば、その選手は成田空港で水をぶっかけられるでしょう。それとまったく同じことで、もっと真剣に取り組むべきです。私は定数80削減にはまったく反対で、歳費の恒久2割削減をすべき、との公明党代表の山口那津男さんの意見に賛同しています。
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