納期の延長が前提の仕事はありえない 3党協議、ことしもスタート【追記あり】

  • 2012-6-8
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 緊迫した6月政局。「予言的中」というように言っている人もいるようですが、国会法第2条「常会は、毎年1月中に召集するのを常例とする」、第10条「常会の会期は、150日間とする」とある以上、通常国会が(解散がなければ)会期末となる6月が政局になるのは当たり前。ならなければ、野党は仕事をしているのかということになります。

 ことしもまた3党協議になりました。衆参ねじれとなった昨年の第177通常国会では4月29日の3党政調会長合意(玄葉光一郎さん、石破茂さん、石井啓一さん)以来の枠組みが、第180通常国会でも機能することになります。

 来週6月15日(金)までの3党合意、6月21日(木)会期末までの衆院採決が前提となります。一体改革関連法案3領域7法案は今国会中での成立に野田佳彦首相が政治生命を懸けている以上、会期を延長して参院での可決をめざすことになります。かりに採決で不正常なことになれば、その場合は「今国会での成立に政治生命」という発言の整合性を取る上で、2つの選択肢があります。一つは総辞職ですが、もう一つは衆院を解散して、信を問えば、第46回衆院選後の第181特別国会で成立させても、憲政の常道から言って、発言との整合性は問題ありません。

 マスコミでは、「協議の難航は必至」となっていますが、これは煽って、政治部の報道を増やそうとしている行為です。6月15日(金)までに3党合意ができなければ、国会の存在意義を問われることになるので、当然にして、合意します。2党合意の可能性はなきにしもあらず。合意には「部分的な先送り」「棚上げ」もあり得ます。とはいえ、党を問わず「政治」は先送りばかりしてきたツケがあるので、あまり先送り項目が多いのはよろしくない。それもまた「一体改革」です。

 報道によると、きょうから始まる3党修正協議の実務者は上の図の通りです(筆者作成)。

【追記 2012-06-09 07:52:32】

 3党協議の社会保障分科会は「年金」と「子ども子育て新システム」双方を一括して修正することが分かりましたので、図を修正しました。なお、この分科会の実務者は各党1人に絞って欲しいと、自民党から要望があったと報じられてます。これはおそらく、自民党内の幼稚園族と保育所族の対立を回避したいという意向が自民党執行部にあったものと思われます。

【追記終わり】

 このうち、衆院社会保障と税の一体改革特別委員会(中野寛成委員長)で、ずっと審議を聞いてきているのは、民主党では古本伸一郎さんだけになります。自民党では伊吹文明さん、野田毅さん、鴨下一郎さん、町村信孝さん、加藤勝信さんが委員なので、各党の「落とし所」が見えていると思います。公明党は逆に委員はいないので、法案との距離間を演出しているように感じます。
 
 このうち、オレンジ色は総理、官房長官、副総理と同じく、元新進党国会議員。3党に配置されたことになります。法案に基づき、実務にたけた修正がなされます。しかし、政府や裁判所とちがって、政治には、志、つきつめれば、感情が左右します。そういう意味では、新進党勢の共通の志は「小沢一郎さんへの恨み」というのがあり、こういうことを無視すべきではありません。「失われた20年」の日本政治で最大派閥はこれです。3党とも党首・幹事長はそれが分かっているから、こういう人事配置をしているのでしょう。
 
 会期は延長されると思います。英国議会以来の「会期独立の原則」があり、第180通常国会の意思は一つでなければいけません。昨年の震災国会のように、3月11日以降に、会期中2度目の民法改正案が出てきたのはやむを得ないでしょう。とはいえ、今国会で、国民年金法改正案が2回出てきているのは筋の良い国会運営ではないでしょう。一つは、年金交付国債法案で、もう一つは、年金の最低保障機能強化法案です。

 しかし、もはや政権交代ある政治のもと、野党が閣法を会期切れで廃案に追い込むために、審議拒否や委員会の設定や運営を妨害するという政治は、この先、衆参ねじれが解消しても、復活することはないように感じられます。ですから、延長のありなしをめぐる会期末政局のあり方も、そろそろ見直しを迫られることになると思います。ただし、これは政治家の姿勢、行動をもって見直すということになります。

 民間で、納期の延長を前提にして、仕事を発注したり、受注したりすることはあるでしょうか。ないと思います。このように延長を前提として仕事をしていると、ダラダラしてきます。こういう仕事のあり方はやめるべきです。民間では通用しません。

 修正協議とは、「法案の修正協議」なので、法案が出ていない「最低保障年金の撤回」「後期高齢者医療制度の廃止の撤回」というのもおかしな話です。これは自民党ベテランが分かり切っていて、あえて、そういうボールを投げている。それがマスコミもよく分からないまま、報道して徐々に拡幅して、経験が乏しい民主党議員まで信じてしまい、政府に申し入れをするという悪循環になっていると感じます。一体改革である以上、社会保障法案を置き去りにして、税制改革の2法案だけ採決するということは、内閣も、自民党も、公明党も、財務省も得をしない。ありえないと思うのですが、この件について、野田総理への申し入れもあったようです。念押しという雰囲気にも感じません。

 この3年間の歴史の激動の中で、「政界は一寸先は闇」と言いますが、与野党問わず評価されている人は、出身は別々でも志がシッカリしている人です。これは共通しています。そして、法案を見ておくという当たり前の作業をしていない人は、議員でも記者でも、厳しいことになってきていると感じます。

 1993年の第126回通常国会の6月18日のいわゆる「宮澤嘘つき解散」。あのときの与党第1党(自民党)幹事長が誰だったか。覚えていない人も多いと思います。梶山静六さんでした。梶山幹事長は議案(宮沢内閣不信任案)の採決(否決)について、かなりタカをくくっていて、あまりていねいにやっていなかったとされています。油断大敵。宮澤喜一首相・総裁とは、官僚出身と地方議員出身、世襲とたたき上げ、宏池会経世会と似ても似つかないコンビを強いられ、国対委員長から昇格した梶山さんは誠心誠意、総理を支えるという考えはなかったと思います。

 別段、羽田孜さんは宮澤さんを倒したいわけではなく、政治改革(小選挙区による政権交代可能でなるべくお金がかからない政治)を実現できればよかったと考えているでしょう。その翌年の6月に総辞職した羽田孜首相は記者会見で「もう政局は終わりにしよう」と呼びかけました。あのとき解散していれば勝てたはずです。羽田さんらのそれから15年の野党経験と、その前から始まっていた日本の失われた20年は避けられたでしょう。その悔しさを飲み込んで望むのがこの6月政局です。

 宮澤内閣を倒されたときの総理政務秘書官の宮沢洋一・参院議員も修正協議に参加するそうです。ネクス厚労相ですが、小宮山洋子リアル厚労相内閣府少子化担当相兼務)のお父さんが宮沢さんの在学中の東大総長なので、対決意識があるようです。宮澤ファミリーというのは、こういうところで、総理、知事、大臣が輩出してきたようです。けっして、否定すべきことではないと考えます。

 気が早いかも知れませんが、特例公債法案、年金交付国債法案、マイナンバー法案もきっちりと会期中に3党合意してほしいものです。

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