96人の署名が必要な「記名投票」を前提とした報道や小沢グループはおかしい 消費税法採決時も起立採決

  • 2012-6-22
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[写真]記名投票を前提に報道する、2012年6月21日のNHKニュース7

 社会保障と税の一体改革については、勘違いした報道を国会議員が鵜呑みに、その国会議員の情報を報道が伝えるという恐ろしい状況が起きています。具体的には「3党実務者による修正協議」とは法案の修正協議なのだから、法案が出ていない「最低保障年金」「後期高齢者医療制度の廃止」を「撤回する」というのは極めておかしな話です。「修正協議」は法案の修正であり、自民党公明党民主党マニフェストを修正するわけがない。それを理解しない民主党議員の未熟さを分かっていて、自民党公明党は高めのボールを投げていることにまんまと食らいついてポップフライを上げているわけです。

 筆者は日経新聞政治部記者出身なので、政治部記者が法案を読み込むという作業をしていないということが分かっているのですが、それでも恐怖心を覚えました。太平洋戦争に転落していった時期と重なるものがあります。

 で、このエントリーはマスコミも小沢グループも鳩が豆鉄砲を食ったようになるだろうし、読者の中には恐怖心すら覚えるでしょうが、これが日本デモクラシーの現実です。

 社会保障と税の一体改革法案の衆院本会議での採決について、小沢グループから造反者が出て、離党ないしは除籍、新党結成という観測報道があります。しかし、この報道には、「無知の涙」、各社政治部のデスクや与党キャップ、票読みに回る兵隊(記者)が決定的な勘違いをしています。

 それは、「記名投票」(堂々巡り)を前提にしていることです。

 例えば「ホテルでの会合には「確実に反対票を投じる議員が呼ばれた」とされ、結束は固い。」という表現が大手紙(ネット版)でありました。

 本会議の表決(採決)は起立投票が基本です。衆議院規則第151条第1項は「議長が表決を採ろうとするときは、問題を可とする者を起立させ、起立者の多数を認定して、可否の結果を宣告する」としています。ですから、衆議院側の本会議では、起立採決が基本です。

 そして同条第2項は「議長が起立者の多少を認定しがたいとき、又は議長の宣告に対し出席議員の5分の1以上から異議を申し立てたときは、議長は、記名投票で表決を採らなければならない」としています。

 「起立者の多少を認定しがたいとき」は、民主党自民党公明党から150人程度の造反者が出た場合しか想定できません。

 「出席議員の5分の1以上の異議」ですから、これは96議員以上の署名が必要です。現在反対票を投じると見られる政党は30~40議席です。仮に小沢グループが協力するなら、60人程度が署名しないといけません。が、これは本会議前に署名する必要があるので、表決前に離党するのが「筋を通す」ことになります。

 ケージの前で格好良く青票(反対票)を掲げて参事に渡し、その後、離党して、新党参加という流れにはならないでしょう。

 消費税法案が衆議院を通過した昭和63年11月16日の第113臨時国会本会議の議事録を調べてみましたが、このときも起立採決です。ただし野党第1党の日本社会党は欠席していた模様です。

国会会議録検索システムから抜粋引用はじめ]

第113回国会 本会議 第16号
昭和六十三年十一月十六日(水曜日)
    午前一時開議
(略)
   ─────────────
○本日の会議に付した案件
 日程第十二 税制改革法案(内閣提出)
 日程第十三 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十四 消費税法案(内閣提出)
 日程第十五 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十六 消費譲与税法案(内閣提出)
 日程第十七 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    午後一時三十七分開議
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
自見庄三郎君 日程第一ないし第十一は延期されることを望みます。
○議長(原健三郎君) 自見庄三郎君の動議に御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一ないし第十一は延期するに決しました。
(略)

○議長(原健三郎君) 日程第十二、税制改革法案、日程第十三、所得税法等の一部を改正する法律案、日程第十四、消費税法案、日程第十五、地方税法の一部を改正する法律案、日程第十六、消費譲与税法案、日程第十七、地方交付税法の一部を改正する法律案、右六案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。税制問題等に関する調査特別委員会理事海部俊樹君。

    〔海部俊樹君登壇〕

海部俊樹君 ただいま議題となりました六法律案につきまして、税制問題等に関する調査特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 (略)
○議長(原健三郎君) 六案中、日程第十二、第十三及び第十五の三案に対しては、それぞれ渡辺美智雄君外一名から、成規により修正案が提出されております。
 この際、修正案の趣旨弁明を許します。野田毅君。
    〔野田毅君登壇〕
野田毅君 ただいま議題となりました税制改革法案、所得税法等の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案、以上三案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨とその内容を御説明申し上げます。
(略)
    ─────────────
○議長(原健三郎君) 質疑の通告があります。順次これを許します。
(略)
○議長(原健三郎君) これにて質疑は終局いたしました。

    ─────────────
○議長(原健三郎君) この際、国会法第五十七条の三の規定により、日程第十三に対する渡辺美智雄君外一名提出の修正案について、内閣の意見を聴取いたします。大蔵大臣宮澤喜一君。
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
国務大臣宮澤喜一君) この修正案につきましては、政府といたしましては、諸般の事情に照らし、異存ございません。(拍手)
    ─────────────
○議長(原健三郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。小谷輝二君。
    〔小谷輝二君登壇〕
○小谷輝二君 私は、公明党国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました税制改革六法案に対して反対、修正部分に対して賛成の討論を行うものであります。(拍手)
(略)
○議長(原健三郎君) 羽田孜君。
    〔羽田孜君登壇〕
羽田孜君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました税制改革関連六法案につき、賛成の意見を申し上げます。
(略)
○議長(原健三郎君) 米沢隆君。
    〔米沢隆君登壇〕
○米沢隆君 私は、民社党・民主連合を代表し、ただいま議題となりました政府提案の税制改革関連六法案についての委員長報告に反対、公明、民社のそれぞれの修正合意にかかわる本会議修正案に賛成の立場から討論を行うものであります。
(略)
○議長(原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
○議長(原健三郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第十二に対する渡辺美智雄君外一名提出の修正案につき採決いたします。
 渡辺美智雄君外一名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、渡辺美智雄君外一名提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま議決されました部分を除く他の部分につき採決いたします。
 この部分を委員長報告のとおり修正議決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、さきに議決された部分を除く他の部分は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
 次に、日程第十三に対する渡辺美智雄君外一名提出の修正案につき採決いたします。
 渡辺美智雄君外一名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、渡辺美智雄君外一名提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま議決されました部分を除く他の部分につき採決いたします。
 この部分を委員長報告のとおり修正議決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、さきに議決された部分を除く他の部分は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
 なお、ただいまの議決の結果、附則中に条項の整理を要するものがありますので、衆議院規則第百二十条により、この整理を議長に一任されたいと思います。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、そのとおり決しました。
 次に、日程第十四につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
 次に、日程第十五に対する渡辺美智雄君外一名提出の修正案につき採決いたします。
 渡辺美智雄君外一名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、渡辺美智雄君外一名提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま議決されました部分を除く他の部分につき採決いたします。
 この部分を委員長報告のとおり修正議決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、さきに議決された部分を除く他の部分は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
 次に、日程第十六及び第十七の両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ────◇─────
○議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十九分散会

[引用抜粋おわり]

 このように、消費税を導入したときですら、起立採決です。

 政治部記者と小沢グループは水をかぶって頭を冷やした上で、延長会期末までに予想される内閣不信任案採決まで、「新・国会事典 第2版」(浅野一郎・河野久著)を読んでおいた方がいいですね。のたれ死にしますよ。

 情けない!

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[お知らせおわり]

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