参院選一票の格差「違憲状態」と最高裁 抜本改革すべきだが次期衆参選挙は「有効」では

  • 2012-10-18
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[画像]8月28日(火)の衆議院本会議で定数是正法案の「可決」を委員長報告する赤松広隆・政治倫理の確立および公職選挙法改正に関する特別委員長、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 最高裁判所大法廷は2012年10月17日(水)、第22回参院選(2010年7月11日セブンイレブン投開票)の選挙区(都道府県ごと)の1票の格差に関する2つの上告審(平成23(行ツ)51事件と平成23(行ツ)64事件)について、「違憲状態」と断じた上で、選挙結果については有効としました。裁判官のなかでは、参議院都道府県ごとの選挙区制度では1票の格差の是正に限界があり、選挙制度を変えるべきだとの意見も出ました。

 すでに、昨日の判決については、最高裁判所のホームページから、判決文全文がダウンロードできますので、お読みいただきたいと思います。

 最高裁のホームページで、

 1件目はhttp://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82641&hanreiKbn=02
 2件目はhttp://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82642&hanreiKbn=02

 から全文を取り出して読むことができます。

 ここからは、あくまても、短期的な現実論として私見を書きます。タイミングとしては、今書くことではないのですが、どうやらきょうの民自公3幹事長会談で、公明党井上義久幹事長が「定数是正法案の成立を約束することとひきかえに年内解散」という条件を出してくるという観測があります。ところがこの「井上提案」が仮にあっても、国政は1ミリほど前に進むだけの話であり、井上提案はほとんど意味のない提案だということです。

 まず、最高裁衆議院に求めていること。これは国会議員もマスコミも勘違いしている人の方が多いですが、まずは衆議院選挙区画定審議会設置法(区割り審設置法)の第3条に書いてある「47都道府県ごとの基礎配分1」(1人1枠方式)の削除です。そのうえで、都道府県ごとの定数を0増5減することです。そのうえで、2010年国政調査にもとづき、村松岐夫会長らの内閣府区割り審議会が新区割りをつくり、総理に勧告し、国会が公職選挙法改正案を成立し、天皇陛下が公布するという流れです。ただし、来年8月29日に第45期衆議院の任期が終わるので、極めてギリギリのスケジュールです。

 そこで、民主党は第180通常国会に180衆法22号を出しました。この法案について、私は「1人1枠方式を廃止し、0増5減し、定数をさらに40削減し、比例を全国ブロックにし、一部連用制を導入し、第47回衆院選から定数400とする附則をつけた法案」と表現しています。この法案は8月28日(火)の衆議院本会議で全野党欠席のなか、民主党国民新党の賛成多数で可決しています。上の赤松広隆衆議院政治倫理の確立および公職選挙法改正に関する特別委員長の委員長報告がその証拠です。その後、参議院に送られましたが、審議されず、9月8日(土)の会期末に審議未了廃案となりました。ただし参議院では採決していませんから、参議院が否決したという事実はありません。

 参議院の定数是正に関しては、第23回参院選までに「4増4減」が必要です。これは、民主党・新緑風会一川保夫参議院自民党溝手顕正の両幹事長が発議者として、180参法36号として「公職選挙法改正法案」として出されています。これは4増4減のシンプルな法案なので、二大政党の参院会派共同提出が可能となりました。会期末の9月7日(金)の参議院本会議で、賛成202、反対36の賛成多数で可決しています。次の足立信也・特別委員長の委員長報告の画像がその証拠です。この後に開かれた先の国会最後の衆議院本会議で、議院運営委員会を飛び越して、直接、特別委に付託し、閉会中審査として継続審査案件となっています。


[画像]参院選挙区の4増4減の定数是正法案の審査結果「可決」を報告する足立信也・政治倫理の確立および選挙制度改革に関する特別委員長、2012年9月7日、参議院インターネット審議中継から。

 ですから、国会としては定数是正について、何一つ仕事はできていません。ところが、衆院選の定数是正については衆議院が、参院選の定数是正については参議院がそれぞれ法案を可決しています。最低限の努力をしています。いやむしろ、少なくとも衆議院にとっては、「民主党国民新党の賛成」というねじれ国会の参議院での可決・成立が見込めない状況のなかでは、「衆議院としては最大限の努力」と言えるのではないでしょうか。この第180通常国会の議事録が残っている以上、最高裁は、第46回衆院選、第23回参院選の選挙結果について、引き続き「違憲状態」ないしは「違憲」と断じても、「選挙結果を無効にしてやり直させる」という判決を出すようには、私には思えません。

 要するに、きょう、野田佳彦内閣が日本国憲法第7条による解散詔書を公布し、衆議院議院運営委員会横路孝弘議長が朗読して、衆議院を解散し、第46回総選挙をしても、選挙は有効である、と私は考えます。あるいは、参議院も来年7月にこのまま第23回参院選をしても、選挙結果は有効ではないでしょうか。

 ですから、きょう、井上幹事長が「定数是正法案を衆参で通して成立させてあげるから、12月9日(日)投開票に間に合うように解散してほしい」と要求しても、衆院での可決が衆参両院での可決・成立になるだけであって、新区割りによる選挙ができない以上は、国政は前進しない、しいて言えば、一ミリ程度の前進に過ぎないのではないでしょうか。

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