
しかし、2020年10月9日のグループインタビューでは「任命手続きは終了した。任命を変更することは考えていない。最終的に決裁を行ったのは9月28日で、(99人の)会員候補リストを見たのはその直前だ。(105人のリストは)見ていない」と語りました。見ていないと突き放しました。この場合は、常識的に杉田和博・内閣官房副長官が6名を外した、と考えるのだ打倒です。しかし、加藤官房長官はきのうの会見で105名の名簿が決裁文書案に添付されていた、と暴露しました。
少なくとも、9日のグループインタビューで、首相は嘘をついていた可能性があり、この導火線を、新聞社自ら着火させるかどうかが、日本政治としては久しぶりの権力と報道の攻防の政局となりそうです。
東京大学と法政大学。日本学術会議は歴代で30名の会長がいて、その中で、東大卒ではない人は、ノーベル物理学賞で海外にいた朝永博士、先月末までの山極京都大学総長、今の、梶田会長(埼玉大学卒で東京大学大学院修了)の3名だけのようです。
一方、官邸は法政大学卒の菅首相のもと、加藤官房長官、杉田副長官、和泉補佐官(工学部)、首相秘書官や官房長官秘書官のほとんどが東大卒になります。
東大卒はあまり仲が良くない傾向があります。過去に理系と文系の東大卒がつながった地方政権があります。
1964年東京五輪の東京都庁。東知事(軍医総監を経て東大医学部長)を鈴木俊一副知事(初代自治事務次官)を支えていました。五輪後の大不況で、鈴木昇格戦略がばれて、革新の美濃部知事となり、鈴木さんは大阪万博事務総長など12年間外に出ました。ところが、美濃部知事は法政大学教授ですが、実際には、東大経済学部教授を「共産主義者外し」で追い出されて法政大学の職を得て、テレビ出演に活路を見出したようです。つまりこの人たちはみんな東大で、初代から48年間一貫して都知事は東大卒でした。他県と違い出身高校はまったくバラバラでしたが、副知事の一人も含めて、大学はずっと東大だったわけです。戦後都政の目玉プロジェクトの半分くらい、五輪、ニュータウン、臨海副都心、地下鉄は、霞が関が全日本できないことを都庁支店に投げた、との構図も透けて見えます。
蛇足ですが、菅さんの息子3人のうち1人は東大法学部卒です。息子3人のうち1人は東大卒というと小沢一郎さんを思い出しますが、菅さんのところは後継者になるのではないかとの噂は港町でくすぶっていて、自民党系地方議員は否定しているようです。
杉田さんも80歳ですから、新首相に自分のせいにされたらやってられない、と投げ出したのかもしれません。
権力と権威。権力があれば何でもできると、権力をかざす菅首相に対して、東大閥が権力と権威の融合で押し返しているような気がします。反知性主義がすさまじいうねりと権力の暗闘を呼び起こしているのではないか。私としては縦割り排除ではなく、縦割り復活で、大臣や事務次官どうしが記者会見も通じて格闘してほしいと感じます。
コロナ過で、学術会議どころではないとの話も聞きますが、安定政権が一気に流動化しつつあります。
Ⓒ2020年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki



