参院予算委員会が予算審査を終了

[写真]参院予算委員長をつとめた民主党(全国比例)の前田武志さん

参院予算委員会 2011年3月29日(火)】

 参議院予算委員会前田武志委員長)は、2011年3月29日、平成23年度総予算(一般会計予算、特別会計予算、政府関係機関予算)の審査を終えました。

 参・予算委員は45人ですから、起立採決の結果、賛成少数で否決されました。委員数からして、前田委員長を除き、「賛成21 vs 反対23」ということになったのかと思います。

 3月4日(金)から審議がスタートし、初日から手ぐすねを引いていた自民党スター陣がヒットを連発。とくに、西田昌司さんが前原誠司外相(当時)の京都市焼肉店主の女性からの献金について、「在日(外国籍)の方です」との答弁を引き出し、政治資金規正法違反の可能性を指摘しました。金曜日の夕方に菅総理の隣のナンバー2の席に座っていた閣僚が、月曜日の午前9時にはいないという「政界は一寸先は闇」を感じさせる「恐い」光景の中の、3月7日(月)の基本的質疑では、民主党が質問。とくに吉川沙織さんの「今、世の中には、体感不安がある」と指摘したうえでの、若年雇用者対策事業の充実には、TV中継を見た人から激励の電話が殺到しました。とはいえ、この「体感不安」というキーワード、与党では最年少の参院議員だけにハッキリと物を言ったわけですが、その4日後の、東北、日本、世界を襲う未曾有のピンチを暗示していたようにもなんとなく感じます。

 2月の衆院予算委員会での予算審査は前半は「子ども手当マニフェスト1・6万円→2・6万円引き上げの経緯」、終盤は「厚生年金から国民年金への切り替え漏れによる運用3号」が議題となりましたが、参院では違った方向からスポットライトを充てるという、両院制(二院制)にふさわしい審議の兆しがありました。3月8日(火)には、日程闘争のかけひきに使われやすい「中央公聴会」の日程を早々に議決することができました。

 3月9日(水)は一般的質疑が10時スタートで、その前の午前9時から衆院側の委員会が大臣の所信聴取をしたり、夕方の午後5時過ぎから衆院財務金融委員会で予算関連法案の「居残り授業」が始まるなど、ねじれ国会による予算関連法案の衆院残留による、積み木細工のような国会日程となりました。

 3月10日(木)も午前9時から衆・総務委員会で、予算関連法案第1号として、公害財特法が可決し、午後1時からは、参院予算委員会でTV入り集中審議となるなど慌ただしい日程が続きました。

 そして、翌3月11日(金)は参院の第1委員会室を使って、決算委員会が開かれているさいちゅうに「3・11大震災」が起きました。

 その後、3月22日(火)から、参・予算委員会は再開し、副大臣政務官が答弁するという異例の事態となりました。また質問もほとんどが震災関係に集中しました。感極まったり、いつもよりも低いトーンの議員が数人いました。

 そして、きょう3月29日(火)、18日ぶりに参院予算委員会に登場した菅総理は、冒頭に発言を求め、「柔軟な対応に感謝します。特に野党のみなさま」と述べました。しめくくり総括質疑のなかで、みんなの党小野次郎・理事の質問にこたえて、中野寛成国家公安委員長は、「センセイの後輩である警察官はがんばっている」としたうえで、通行証の発行について、「臨機応変というよりも、むしろギリギリのなかでチャレンジした日々だった」として、報道されないなか、各府省の官僚たちの不眠不休の努力があったことを明かしました。社民党党首の福島瑞穂さんに対して菅首相は「補正は4月中に組む」「法人税引き下げの取り止めを考える」と答弁しました。また福島さんの「福島市議会が『福島第1原発廃炉を要求』する決議をした、廃炉をしてください」と促すと、菅首相も「一定の期間を経て、安定したうえで、その可能性(廃炉)は高い」としっかり答弁し、評価できると思います。

 正午過ぎに質疑は終わり、討論に入りました。

 自民党猪口邦子理事は、「反対」。ちなみに参院自民党はこの3月に「解散に追い込む」としていましたが、これが不発になったのは「3・11」ではなく、そもそもの作戦にムリがあったからです。まだ2年以上衆院任期が残っているこのタイミングで、参院自民党が追い込めば追い込むほど、民主党は解散できなくなります。「西田砲」の一発ホームランで、前原外相を辞任させただけで尻すぼみとなりましたが、まだまだ健全野党になりきれていないと言わざるを得なく、ある意味、先方にとっても良かったんじゃないかと思います。

 民主党・新緑風会水戸将史理事は「賛成」し、「未曾有の国難では私たち国会議員は党派を越えて、予算を成立させるべきだ」とし、「予算関連法案の早期成立」も同様だとし、野党に頭を下げました。

 公明党長沢広明さんが「反対」。震災復興のために、本予算の「見直し」が必要だとしました。とくに「すでに破綻した」マニフェストの歳出を被災者・被災地支援と復興に回すべきだとしました。

 みんなの党桜内文城さんは「反対」。衆院みんなの党の予算組み替え動議を出したことを踏まえて、「震災のため審議には協力してきた」けれども、改めて同党の案を使うべきだと主張しました。

 日本共産党大門実紀史(だいもん・みきし)さんは「反対」。とくに震災と原子力災害による補償の予算を求めたりするなど、公明党に次ぐ地域政党として組織からボトムアップで情報が集まっていることを伺わせました。

 「たちあがれ日本新党改革」(両党の統一会派)の片山虎之助さんも「反対」。とくに歳入と歳出のバランスから「欠陥予算」と断じるなど、自治官僚として毎年、いろいろな政府予算を見てきた経験を感じさせました。

 社民党党首の福島みずほさんは「反対」。「社民党は国会で唯一の脱原子力の政党として、長年原発に反対してきました。力及ばずこのような原子力災害が起きたことは慚愧に堪えません」といつもとは違ったトーンでの演説でした。

 討論が終局し、午後12時37分。採決。起立少数。よって、否決されました。

 ◇ 

 前田委員長は、28日付の議員としてのメルマガで「当委員会においても挙国一致でこの国難に当たり、国権の最高機関としての国会の責任を果たそうという意思があって、二十二日から予算委員会を再開させました。委員会質疑では被災地に直接間接に関係する議員も多く、的確かつ前向きの真剣な議論がなされました。厳しい指摘を含めて実行部隊の政府にとって意義深い質疑とあった確信しております」と振り返っています。

 予算案はこの後、午後1時から予定されている参院本会議で、賛成少数で否決します。否決ですので、参院衆院に「返付(へんぷ」します。その後、日本国憲法第60条第2項にもとづき、衆院の議決が国会の議決となります。

 全体的に、編成のしかたがていねいだったことと、答弁での安全運転があり、衆参とも審議がノンストップで続き、いい審査ができたと思います。お疲れ様でした。

 で、エントリーの最後にひとつ申し上げますが、西田昌司さんはあまりにもヤジが酷すぎます。当選1回生ながら、「西田国会」となった第177通常国会の本予算審査でした。

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