
政府は、遺産分割協議書作成の締め切りを定めた規定を民法に追加するとともに、相続した遺産を国庫に帰属させることができる2法案を来月下旬の閣議で決定し、開催中の第204回通常国会に提出する方針を決めました。
法律案のタイトルは「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案」(204閣法 号)と「民法等の一部を改正する法律案」(204閣法 号)となる見通し、同じ日の閣議で決定されるはこび。
法務省が内閣総務官室を通じて先週18日付で提示した資料によると、民法の改正は、今の条文はあまりいじくらずに、次の4つの規定を追加する内容となりそうです。
(1)相続によって生じた所有権移転登記を、相続人の義務とする規定
(2)遺産分割を求めることができる期間を制限する規定
(3)所有者不明土地管理命令という制度を創設する規定
(4)相隣関係や共有物の管理に関する規定ーーの4つです。
おそらく民法907条の後ろ辺りに追加されるのではないでしょうか。司法試験や民事弁護士の研修に出そうな重要な改正となりそうです。施行日にも注目です。
新法では、所有者不明土地や新しい遺産を、相続などで所有した人が、法務大臣の「承認」を得て、国庫に返納することができる、と定めます。
これにより、市町村の税金である固定資産税をおさめたくないために相続せず、登記もせず、所有者不明土地となっている状態を改善できそうです。また、仮に相続により相続税が発生する場合の対応は法務省と財務省・国税庁の協議が必要となるかもしれません。遺産分割協議の開始から相続までの間の固定資産税の遡及についても、総務省と市町村などで連絡することもありそうです。また、地方裁判所などで係争中の裁判にも影響が出ます。さらには、生前贈与をめぐる税理士のレクチャーなどもあります。かなり多くの人が頭に入れないといけない法改正となりそうです。
なお、筆者はどちらかと言えば明治維新よりも徳川幕府にシンパシーがあるため、法務省が書いた「国庫に帰属する」ではなく「国庫に返納する」という表現を使いましたが、とくに強い信念があるわけではありません。
イギリス産業革命に始まる資本主義と、フランス市民革命に始まる市所有権の絶対性は、日本国憲法では29条の財産権の保障と公共の福祉にもとづく補償として国内法などに落とし込まれています。しかし遺産分割協議書の作成の期間が法定化されていなかったことは、国税庁も「相続税の仮納付」の制度をつくったり、金融機関が土地担保額の枠内でのやや高利率での生活資金の貸し付けなど見えるけど見えない世界での変化を及ぼしてきました。
資本主義は「タイム・イズ・マネー」だということを、法務省・検察庁は理解していないようで、同業他社の競争が激しく技術革新が絶えまない自動車会社国内第2位の社長を逮捕するのはいいのですが、20日間のみならず長期間拘置しました。毎月の役員報酬は振り込まれているのでしょうが、業界2位で国内外の変化が激しい中、長期勾留し、口を割らせたかったのでしょうが、結果的に外国人傭兵に二十数億円払って国外逃亡してしまいました。

[写真]「相続税」の国税庁、3年前2018年9月、宮崎信行撮影。
ちなみに、大蔵大臣経験者の娘が「土地を物納した」とされていますが、我が国の租税は現金で納めるので、物納はできません。大蔵大臣経験者の娘が実際どうだったかは分かりませんが。
●法案審議入りは5月、成立は6月か、採決まで行けば政府原案通りに成立か
さて法案の成立の公算。きょねん2020年の国会は、法務省の一部幹部が検察庁法改正をねじこんで、人事院作成の国家公務員法改正案が難航し、自民党国対委員長の判断で廃案となりました。これは、永久廃案となったとみられます。法務省はほぼ毎年出している「裁判所職員定員法改正案」(204閣法 号)を来月上旬、「少年法改正案」(204閣法 号)を来月中旬、「出入国管理・難民認定法改正案」(204閣法 号)も提出し、上述の法案とあわせて5法案出します。このうち「少年法」は民法成年18歳に間に合わせる必要があるとともに審議会のプロセスも大きく報じられてきた大玉の法案です。出入国在留管理庁の第2代長官のもとで出される最初の改正法案で、社会的な関心を呼びましたが、法案そのものは小ぶりです。これら3本の審議が先行すると思われますので、相続の法案の審議入りは連休前後までずれ込むと思われます。
しかし、全体の議論そのものは、東日本大震災復興直後の議論は何らかの力で空洞化しましたが、しばらくして、各省を中心に法案提出が相次ぎ、まったく抵抗がない状態となっています。身内の感情的な罵声が飛び交う相続の紛争は「争族」とも揶揄され、裁判所裁判官や弁護士らも報酬を受けてもうんざりだとの声が上がっており、審議入りした後はスムーズに成立することが考えられます。
そのため、5月に審議入りした場合は、政局になっても、6月には成立するとのシナリオが有力視されそうです。このニュースサイトではその動向を今後とも報じていきます。
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