菅直人耐えて行け克て時は寒

 おはようございます。お寒うございます。

 きょうの朝日新聞11面の「朝日俳壇」で、時事俳句の投稿が入選するという面白い出来事がありました。
 選者は俳人金子兜太(かねこ・とうた)さんで、投稿者は八王子市の田中由紀子さん。

 「菅直人耐えて行け克て時は寒」。

 「菅(カン)」と「寒(カン)」の韻をふんで、「耐えて行け!克て!」とエールを送っています。

 朝日の学芸記者が書いた記事では、「本日の朝日俳壇欄、金子選に時事俳句が選ばれた。実験的な句を選ぼうとする金子さんにしても「ここまでストレートな表現は普段はとらない(=選ばないとの意味)」。--と書いており、極めて異例な出来事なようです。懐の寒さ、世情の寒さを反映して、俳壇も心がまっすぐに伝わる三多摩からの応援俳句を季語がしっかり入っていますので、入選させたようです。この朝日新聞紙面が後の世の人から見て、どういう風に感じられるのか、気になるところですが、前に進むしかありません。

 記事では、作者の田中さんがインタビューを受けたようで、「逆境の菅首相にエールを送りたかったのが最初の思い。韻を踏んで〈時は寒〉という季語を選んだ時、ことしの厳しい寒さと世の中の寒々しさが重なった」と話し、「菅首相だけでなく、世間にもうすぐ春が来ますよ、と伝えたい」とのこと。この田中さん、楽天主義者のように思いますが、春は必ず来ます。地球が太陽の周りを回っていれば、日本列島は3月か4月から春になります。だから田中さんは楽天主義ではなく、当たり前のことを、ちょっとアタマをひねって、俳句にしたためただけのことなのです。

 ちなみに、行け!克て!ということで、「勝」と「克」はどう違うのかな、と白川静『字源』をみたら、「克」は象形文字で、刻む道具が由来。なので、「かつ(勝つ)」の他の意味として、「きざむ」、「たえる」、「「うちかつ」という語感(ニュアンス)もあるようです。菅さんは衆院選挙では10連勝していますが、己(おのれ、自分)に克つのはあまり得意でないかもしれない。歴史に名を刻み、己に克つまで、菅直人は前に進むしかない。それが国民生活の窮乏を脱出する唯一の道です。

 朝日俳壇では4人の選者が毎週10句ずつ選んでいます。

 兜太さんは「菅直人耐えて行け克て時は寒」を入選させた理由を次のように評しています。「こういう俳句があってもよい」--達観したような表現に、現在91歳の兜太さんが、元気に長生きされている秘訣を見た思いがしました。

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