
[写真]岡田克也さん、宮崎信行撮影
岡田克也外相が、自民党政権が結んでいたアメリカとの「密約」の調査とディスクロージャーを命令し、実現するプロセスにおいて、アメリカが「あいまいにしておけ」「調査に懸念している」と圧力をかけていた可能性があることが分かりました。そして、あろうことか、日本外務省の局長までもが「これは普天間よりやっかいな問題だ」とアメリカに同調していたとする米外交公電が存在する可能性があることが、2011年5月7日(土)付朝日新聞1面の報道で明らかになりました。朝日はことしの大型連休の目玉企画として、ウィキリークスからの資料提供と、ニューヨーク・タイムズの取材協力を受けた記事を連日載せています。

[写真]2011年5月7日(土)付朝日新聞1面
岡田外相は2009年9月16日に皇居で認証式を終え、官邸で記者会見した後、外務省に初登庁。時刻は9月17日になっていましたが、国家行政組織法第12条などに基づく大臣命令で「密約調査」を命じました。省内での調査を終え、有識者による読み込みを終えて、2010年3月9日、密約に関する調査報告書を国民にディスクロージャーしました。
朝日によると、在東京のアメリカ大使館は2009年11月27日付でワシントンD.C.の国務省に公電を打ちました。公電はこの日、大使館で、ズムワルト首席公使は、外務省の梅本和義・北米局長と会い、密約問題について協議。ズムワルト公使は、「艦艇の核搭載をあいまいにしておくことは抑止戦略の重要な要素だ。ルース大使は調査の行方を懸念している。これは単なる国内問題ではなく、より広い地球規模の文脈でアメリカ戦略に影響が出る可能性がある」と述べ、岡田外相に露骨な圧力をかけました。これを聞いた、梅本局長は「やっかいな問題であり、たぶん普天間より難しい。現政権は密約調査がもたらす結果を理解していない」「核兵器についてさらに明解な説明を求める(国民の)声にどう答えるのか、日米で非公式に協議を続けることが必要だ」と述べ、あろうことか、外務省局長でありながら大臣を批判し、北米局長としてアメリカの意見を擁護するという小役人ぶりを発揮しました。小村寿太郎が泣いてるぞ。そもそも「密約調査」は行組法第12条などに基づく命令なので、これに背いた役人は懲戒処分の対象になります。私は藪中三十二・外務事務次官らは、岡田外相によく協力したと考えます。
朝日によると、カート・キャンベル国務次官補が発表1ヶ月前の2010年2月4日にも、梅本局長と協議した際に密約の話題になったとしています。岡田さんはハーバード大学研究員時代から独自のアメリカ人脈を持っており、岡田さんとカート・キャンベルさんは互いに野党時代からの知己ですので、キャンベルさんは「核をめぐる歴史」は日米で対処すべき問題だ、としてディスクロージャーのその先にある日米同盟の深化について言及。「米国の航空機と艦船が核兵器の搭載を肯定も否定もせずに立ち寄ることができること」を求めました。現実問題として、ブッシュ父政権以降、軍用の船舶・航空機に核兵器が搭載されていることは運用面からして、ないとみられます。が、キャンベルさんは、100年先を見て、今後のイノベーションや、運用の変更などを見すえて、「あいまい」の必要性をアメリカの国益を代表する立場として言ったのだと考えます。
政権交代のその先に、もっと大事な「政治を国民の手に取り戻す」。自民党による50年政権でのボタンの掛け違いを解こうとした岡田さんのディスクロージャーを、他策なかりしを信ぜむと考えた国士たちが岡田さんの背中を押して、アメリカの圧力をはねのけたと言えそうです。
岡田さんは2011年5月5日、沖縄県の那覇空港で記者会見した際、ウィキリークスについて、「違法な手段によって明らかになったことなので、いちいちコメントする気持ちはない」と述べています。
核密約公開、民主政権に再三「憂慮」 米外交公電で判明(朝日新聞) – goo ニュース
民主党政権が昨年3月に公開に踏み切った1960年安保改定時の日米の「核密約」を巡って、公開は米国の世界戦略に影響を与えかねないとして、米側から強い懸念が繰り返し伝えられていたことが分かった。内部告発サイト「ウィキリークス」が入手した日本関係の外交公電を朝日新聞が分析し、判明した。
核を積んだ米艦船の日本寄港を認めた密約は、冷戦終結後の91年に米軍が水上艦の核搭載をやめたことによって意味を失ったとされていたが、公電からは、将来の政策変更があり得ることを視野に、「暗黙の合意」の継続にこだわる米側の思惑が明確にうかがえる。持ち込みを禁じた日本の非核三原則との関係が問われることも必至だ。






