
岸田文雄首相は、コロナ禍で、公庫融資・協会信用保証による無担保低金利融資による債務過剰感が高まっているとの認識を強調し、大企業の債務を棒引きする「私的整理円滑化法」の法案を検討することを打ち出しました。
菅義偉政権の「成長戦略会議」(竹中平蔵委員ら)が9月に出した「成長戦略の秋に向けた検討課題」にあり、岸田首相のもと「採算性回復が望める事業者の債務整理のため、全ての貸し手の同意がなければ債務軽減ができない制度を見直し、私的整理円滑化のための法制度をつくります」と断定調で「新しい資本主義実現会議の緊急提言」に先月入りました。
首相は「文藝春秋2022年2月号」に「既存企業の新たな事業再構築に向けた努力の環境整備も大切です。コロナ禍が始まって二年となる中で、債務の過剰感を持つ事業者が増えています。民間調査会社が行ったアンケート調査では、「債務の過剰感がある」と回答した企業は、大企業が一六・七%、中小企業が三五・七%に上りました。新たな成長に向けて企業の事業再構築を進めていくためには、主な貸し手、メインバンクが債務を軽減すれば新たな投資が可能であると判断する場合には、全ての貸し手の同意がなくても、債務の軽減措置が決定できるよう、法制整備を図ります」としました。
思惑としては、首相は自民党証券議員連盟の会長ですので、証券・保険が販売する劣後ローンなど資産性のある資金提供と、銀行融資を交換することで、銀行に負担が少ない格好で、バランスシートを整えるということなのかもしれません。また金融庁は7年前に研究結果の中間とりまとめを出していますが、きょねん1・1兆円の事業再構築支援金の真水の税金を大企業に交付した経済産業省が中心になって検討するという観測も、一部で報道されています。
きょねんは半世紀ぶりに東京証券取引所プライム上場企業の倒産がゼロでした。雇用保険料や税金の直接投入に加えて、政府の肩代わりも頭の片隅に置いた借金棒引きとなると、100年続く大企業のゾンビ化による漂流した新しい資本主義が強固なものになるかもしれません。
法案提出の日程感は不明。
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