[写真]自民党大会会場に入る高市早苗さん、おととし、宮崎信行撮影。
きょう発売の「月刊文藝春秋2021年9月特別号」に高市早苗さんが「総裁選に出馬します」とする8ページの論文を寄せました。
[写真]月刊文藝春秋2021年9月特別号。
この中で「今回、私自身も総裁選に出馬することを決断した」と書きました。NHK報道は「出馬に意欲」にとどめていますが、9月29日ではないかとされる自民党総裁選に出馬すると断定。但し、「推薦人20人が集まらなかった」として届け出ないことはありえます。
高市さんはきょねん「安倍晋三内閣の政策を踏襲する菅義偉」さんに投票したと強調し、「アベノミクス二本目の矢である機動的な財政出動は適切に実行できなかった」とし、補正予算30兆円を繰り越してしまった菅首相・寺岡首相秘書官(財務省)らの姿勢を批判しました。
そのうえで「サナエノミクスと称すると少し間抜けな響きで残念だが、基本路線はニュー・アベノミクスである」と提示。アベノミクス3本目の矢「成長戦略」が地方創生特区など規制改革を意味したが、成長戦略を改革ではなく投資に集中させるとし、「危機管理投資」と「成長投資」の2つを打ち出しました。論文はこの具体策を提案したうえで、最後に「日本経済強靭化計画を実行させていただきたい」と結び、二階幹事長が11年前に一野党議員として発表した「国土強靭化計画」にあやかろうとの姿勢を垣間見せました。
高市さんは総務大臣のイメージが強いですが、旧通産省の政務次官をしており、男女共同参画・沖縄北方大臣の後に、経済産業省の副大臣をつとめるなどしています。この論文は、安全保障、医療機器、脱炭素などに触れていますが、薬機法がらみ以外はほぼ全文が経産省マター。財務省の寺岡秘書官・矢野事務次官と国交省住宅局の和泉洋人補佐官に主導権を奪われた経産省の巻き返しと考えられます。経産省はコロナ禍で、持続化給付金、家賃支援金、事業再構築支援金、さらに国交省・農水省が交付するGoToトラベルなどの政策メニューが通っていますが、官邸の人事では主導権を奪われたことが「30兆円繰り越し」理論へのすり替えと考えられます。
高市さんと菅さんをめぐっては、菅官房長官へのご説明で、ふるさと納税控除についての反論文書を無言で机上に置いて退室した自治税務局長が怒りを買ったとして、しばらくして高市大臣が知り電話で「あなた、菅さんに何を言ったの、謝ってきなさい」と諭されながらも、局長が拒否して、内閣人事局が自治税務学校長に左遷したことがありました。しかし、とくに接点がなく、奈良1区から奈良2区への国替えなどで微妙なしこりがあるとされる公明党の関係なども含めて、特段の義理も恩もない関係と考えられます。
女性の出馬は2008年秋の小池百合子(小池ゆりこ)さん以来13年ぶり2度目。新進党所属歴のある議員は、2012年秋以降、現職無投票再選を除くと石破茂さんが必ず立候補しています。「新進党枠」は石破さんが出ないとみられますので、高市さんが立候補し、同じく新進党出身の二階俊博幹事長が一瞬だけ中立にみられるようなふるまいをすることも予想されます。首相側近で不仲が噂される野田聖子元総務大臣は、子供が生まれてから党内に仲間を増やす活動をしていないとみられ、総裁選出馬に必要な推薦人が集まらない状態が続いていると考えられます。
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