「難病医療法改正案」2022年通常国会以前に提出へ、野党・中根康浩のそれから「施行後5年以内見直し規定」の中根修正で56疾病が333疾病に拡大し医療の進歩にも貢献

[写真]炎天下でも国会取材を欠かさない筆者・宮崎信行、きょねん2020年8月。

●難病医療法改正案、提出のはこび

「難病医療法改正案」が国会に提出される方向になりました。衆議院解散に前後して、2022年通常国会で審議されることになりそうです。小児慢性疾患の「児童福祉法改正案」も合わせて提出されます。

厚労省におかれた難病対策と小児慢性特定疾患児支援対策の2つの委員会は合同で、さる2日、「難病・小慢対策の見直しに関する意見書の素案」をまとめました。

●8年続く「衆参ねじれ解消」でも野党議員の発議の形での「中根修正」

2012年衆院選で民主党が下野し、2013年参院選で参議院第一会派からも転落する「衆参ねじれ解消」。この政治構造はきょうまで8年続いています。ねじれ解消の最初の通常国会で、新法・難病医療法案の審議は、熾烈を極めました。

2014年4月18日付「中根康浩さん“中根修正“で難病自己負担法案がまさかの全会一致で衆・厚労委可決「待ってる人もいる」

など参照。

経済産業政務官をやった中根康浩さんは下野後も議席を維持。再び政権をとるために、衆議院厚生労働委員会で死闘を繰り広げました。おそらく一つの難病家族会からの悲痛な要請を受け止めたことを代弁したと思われます。ねじれ解消とはいえ強行採決には慎重な与党は、「附則に5年後見直し条項」をつけ、その修正案は野党・中根議員が発議者となることで合意しました。新しい政治シーンが始まりました。8年経って、安易に見直し規定をつけるようになりましたが、もともとは中根さんと田村憲久大臣(現在も現職)との死闘でした。

●その後の中根さん

中根さんが患者団体を代弁したといって、自民党議員が企業の巨額献金に頼るのとはまったく違います。中根さんはステップアップを目指して派閥結成に立ちあがり「岡崎から東京までの日帰りバスで、政治資金パーティー券2万円を含んだ総額3万円で、細野豪志会長との記念写真も必ずお取りします」という涙ぐましいまでの基盤確立を図りました。しかし、民主党は東大卒が好きな幹部が多く、江田憲司さんの党から合流した東大卒自治官僚に公認を奪われてしまいます。国会議員も細野派副会長の座も遠くなった中根さんですが、現在は岡崎市長におさまっています。

●正確には5年は過ぎているが前向きに政府が検討

中根さんの修正でいう「施行後5年以内を目途」は正確には既に過ぎています。厚生労働省健康局難病対策課は、おととしの5月15日には専門委員会で審議しています。が、きょねん1月31日の会議の後、次が10月16日に飛んでしまいました。誰でも想像できますが、健康局がコロナ対策に忙殺されたためです。そして、半年ぶりの開催で素案をまとめました。

素案は、(1)認定のしくみは今後も維持する(2)医療費助成の患者負担は総合的に勘案する(3)利便性の観点から都道府県から市町村に委任してほしいという声もあるが、今のしくみを維持する(4)登録者証を新設するーーなどの内容となりました。

登録者証の新設や、あえて医療費助成を申請していない人のデータベースへの取り込み方、ゲノム検査などの新技術への対応、地域協議会の活性化といった、小ぶりな改正となりそうです。

●厚労省の研究から法律になったことで、56疾病が333疾病に拡大

長年、厚労省の「研究」だった難病医療が法律になったことで、専門委員会は、「法制定前の56疾病から333疾病へと大幅に拡大した」とし、「臨床データの収集が拡大し、今後の治療研究の推進が期待されるとともに、長期の療養による経済的な負担への支援がはかられた」と強く振り返りました。

自民党議員からも5年後見直し規定による改正法案の提出を急ぐ声が多いことから、2022年通常国会までの提出は確実。

●がんばれ中根岡崎市長

東大卒が好きな東大卒の野党幹部が誰とはいいませんが、岡崎市長はかつて天下をとったこともあります。おそらく地元では誰も知らないであろう、中根さんの国会での奮闘が、大きく国を動かしたと、ここまで各方面から絶賛される野党議員の業績は稀有です。

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