立憲民主党の枝野幸男代表は、8月の定例記者会見を開きました。冒頭発言で2つ発言し、質疑応答で31項目の質問に答えました。
枝野さんは、新型コロナウイルス感染症のデルタ株など第5波で、「自宅療養中の19名が亡くなった」とし、消防や医療の体制に懸念を示しました。そして「7月16日に、憲法により臨時国会召集要求書を出したが、報道では、政府は召集に応じない方針だとされている。感染爆発と医療崩壊を前に、臨時国会で補正予算を組み、予備費を積み増すべきだ。任期が迫っていることは分かっている。自民党は、党内での権力闘争をしようとしている。このままではどんなに早くても補正予算の財源的裏付けが11月半ば以降(の特別国会か臨時国会)にならざるをえない」と強く迫りました。枝野さんは、予算について(1)自治体ワクチン接種の加速(2)自治体への交付金の積み増し(3)国が野戦病院をつくるーーとのメニューを示しました。そして総選挙で政権交代する可能性をふまえ、「速やかに真水で30兆円規模の補正予算案を組む」とし、毎週火曜日午前11時の執行役員会後に、泉健太政調会長、江田憲司・代表代行経済調査会長の2人に指示したとあかしました。
質疑は31項目。
(1)臨時国会の召集拒否が確実になったことについて、枝野さんは「メディアのみなさんも憲法違反だと報道するように、伏してお願いします」と語りました。(2)菅総理が幹事長を交代させるとの見通しについて「他党の人事なのでコメントする立場にないと思う」と述べました。
(12)として、群馬1区の公認問題について枝野さんは「現在、本部選対委員長(平野博文代表代行)が担当しており、県連には公認権はありません」としました。(27)として筆者が更問いしたところ、群馬1区は誰も公認せず、比例重複もさせないとの首脳間の共通認識を極めて強くにじませました。意図的に不戦敗させることになります。
(16)で、京都1区と京都5区について。京都5区では、自民党の本田太郎さん、立憲民主党の山本わか子(山本和嘉子)さん、国民会派の井上一徳さんの3現職と、新人の共産党の山内賢さんが準備しています。候補者調整をしないことと、山本さんの会合に「代表・幹事長そろいオンライン出席」したことについて、枝野さんは「総支部長のみなさんから基本的に企画提言をしてもらえればお受けしている」とし「参院選もふまえて可能な所だけ一本化している」とし、京都が参院2人区であることなども踏まえて、この選挙区では調整しないとしました。一方、立憲が候補者を擁立したい意向としている京都1区では、自民党の伊吹元議長の後継者の勝目康さん、共産党の穀田恵二さん、維新の堀場幸子さんが準備しています。中村喜四郎さんが穀田さんに為書きを送ったことについて「中村先生は、きょねんの9月に、野党の連携を考えると、党の肩書を背負っていない方が自由にできるから。それでいて枝野を全面的に支えるからと言っていただいた」として、党としては今後も擁立をあきらめてないとしました。
(3)と(10)。擁立目標は比例とあわせて233、獲得目標も233だとしました。これ、私は擁立を233小選挙区だと思っており、野党が1人も立てていない選挙区がないことから調整はどうするのだろうとの懸念が浮上していましたが、比例とあわせて233だと明言しました。軌道修正かもしれません。
(4)きのう自民党が追加経済対策を指示したことの対案について、枝野さんは「持続化給付金なども含めて政権政策に入れて、選挙後に実現する」としました。(5)東京では感染が頭打ちになったとの印象について「地方ではまだまだ感染者が一定数いる。その中から重症者や死亡者が出ている」と楽観論を否定しました。(6)公約の出し方について「まず、マニフェストという言葉は使いません。政権政策という言葉を使う」とし、「コロナ以外のことを横串で出すのがいいことなのかは検討する」とし「解散直後や、任期満了なら閣議決定の翌日や翌々日に発表する」としました。
(7)山中竹春・新横浜市長がきのうフリーランス等記者も参加して記者会見したことについて「党として機関決定で推薦したが、他の党が推薦しなかったことにまでは関与していない」としました。(21)横浜市長選で「連合言いなり政党」を体現したとの指摘について「前提となる事実が違う」としました。
(8)政権政策の中身については「手の内をさらすものではない」としました。また「総合選対に、選挙企画というチームがあり、外部の人も含めて精査している」としました。外部が誰かは不明。(11)「100ページの冊子を配るつもりはない」としました。
(9)共産党との連携について「できることを最大限やって自公政権を倒そうというのは同じだ。共産党さんとも政治日程をテイクノートしながら協力していきたい」としました。(13)野合批判には「まず自民党の党内のご事情を優先したほしい」としました。
(14)衆議院と自民党総裁任期について、「10月22日以降に菅さんを総理大臣としているのは例外であって、10月21日までに選挙を行うのは、憲法が定めた責任だ」と踏み込んで発言しました。
(15)選挙前の立憲民主党役員人事は「ありません」。
(17)情勢調査について「各党ほとんどが調査しており、一番の部外秘だ」としました。
(18)タリバンのアフガニスタン政権掌握と米軍撤退で「地球上の国際社会の現実をみれば、日米同盟以外ないと断言する」としました。(29)また、日本大使館員の退避が早くて、アフガニスタン人スタッフ・家族が取り残されたとの観測・批判が高まっていることについて「なにが起きているか分からない」としながらも、注視したい内心をにじませました。
(19)河井夫妻問題を受けた、歳費返納法案で、自公が骨子に合意したことについて、「議員の身分にかかわるものは全会一致が基本だ」「国民の皆さんからすれば理不尽だと思う」とし、解散後の国会での成立に前向きな姿勢を示しました。
(20)また、この法案の成立を期す国会召集のめどについては「特別国会の召集は、現内閣がする」としながら「できるだけ早くしたい」と法案成立への意欲をにじませました。
(22)総理になりたい意欲が見えないという指摘と月1回の記者会見ペースについて「総理になる意欲がなければ野党第一党党首なんてしんどいことはしてない」とし「選挙に向けて、定例以外の会見が増えることになるだろう」としました。
(23)ネクストキャビネットについて「私は選挙後に責任を持つ」とし、各党の議席獲得状況を見てからの判断へと先送りさせました。
(26)政権をとったら何をやるか見えないとの指摘に、「政権をとったら何をやるかは党として明確に発信している。先日はユーチューブ番組での大学授業料半額について、日本経済新聞はネット版は取り上げてくれたが、紙面では載ってなかったようだ。ぜひ政策を報道してほしい」としました。
(30)外交について、「日米同盟とアメリカに対してモノを言わないのは別次元の話。私自身経済産業大臣のとき、自動車の通商交渉で、当時の通商代表かのカークさんと、机を叩いて怒鳴り合いをしました。こんな日本の政治家を見たことがないと言われた」とし、強気な外交姿勢を打ち出したいと意気込みました。
(31)「多摩の立憲に新しい動きがある」との問いに「知りません」と答えました。
31項目だいぶ長かったですが、非常に意気軒高といったところです。筆者の感想としては、非常にたとえは悪いですが、タリバンが最後4日間でカブールをとり、米国も含めた世界があっけにとられたできごとに、なんとなく似ているような感じもします。コロナ禍ですから、自分・家族のこと以外はなかなか関心を持ちづらいところですが、衆院選だけは関心を持ちづつける姿勢がいいように思います。
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