枝野幸男代表や山花郁夫さんら法律トリックでしてやったりの表情、3年後の2024年9月まで「憲法改正無し」と断言、衆議院修正で「公平公正でなく重大な欠陥があると立法者自ら認めた法律になった」

[写真]立憲民主党の枝野幸男代表、きょう2021年5月31日、衆議院第二議員会館、宮崎信行撮影。

してやったりの表情でした。

枝野幸男・立憲民主党代表は月例記者会見をきょう(令和3年2021年5月31日)開き、今月6日に衆議院憲法審査会で、同党の山花郁夫幹事や奥野総一郎さんらが提出した修正案が可決したことで、2024年9月までに国会が改憲を発議できないと明示しました。

先に解説します。

自民党が提出した「日本国憲法改正手続きのための国民投票法改正案」(196衆法42号)は、長くたなざらしになっていましたが、今月6日、突如立憲民主党から修正案が出て、共産以外の賛成多数で可決。参議院の憲法審査会で審議されています。

改正案は長くなりますので、引用しませんが、公布後3か月後に施行する、とあります。

そして、立憲の修正案は

附則第4条として「国は、この法律の施行後三年を目途に、次に掲げる事項について検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする」を原案に付け加えます。

その第2項として「国民投票の公平及び公正を確保するための次に掲げる事項その他必要な事項」を検討することにして、賛成派・反対派のCMやネット広告の総量を規制することなどを見直すことにしています。

つまり、「公平及び公正を確保する」ことを「3年をめどに見直す」のですから、向こう3年間は「公平及び公正でない法律だ」ということを自ら認めた珍法律となります。もちろん、悪法もまた法なり、という言葉もありますが。

枝野さんはきょうの記者会見で、

「政治がいろいろ言うことは参考資料になりますが、法律の解釈は客観的になされなければいけない。弁護士として客観的に申し上げると、この法律(案)は成立した場合、現行国民投票法に重大な欠陥がある、公平公正という観点から重大な欠陥があることを、法律自体、立法者自体が認めている法律だということは法解釈上明確です。つまり、重大な欠陥がある法律を根拠にすることは、欠陥のある国民投票になることは明確だ」

とし、向こう3年間、国会が憲法改正を発議することはできない、と明言しました。

改憲論議自体を3年間しないのか、との問いに枝野さんは、

「法律の解釈と国会で議論をするかどうかは別次元の問題だが、公平公正な国民投票ができないのに発議をすることは、ナンセンスだ。公平公正でないという重大な欠陥を補うことに全力を傾けるのが常識的な判断だ」と述べました。

ですから、次の総選挙後ないし3年後に、衆議院憲法審査会が第一にすべきことは、国民投票法の改正の検討。2017年当時の振り出しに戻るだけ。

枝野代表をとりまく執行部のほとんどが2012年の3党修正で政治巧者・自民党に「景気条項」「政令委任」「給付つき税額控除の検討」などさんざん騙されて、ほとほとトラウマをかかえていますのでやり返してやったという思いが強いのでしょう。

自民党内には、きょねんの福山幹事長の「通常国会中に何らかの結論を得る」との約束を重視した二階俊博幹事長・森山裕国対委員長に向かって新藤義孝さんや船田元さんらが反発。1か月近く経って、新藤さんや船田さんらが二階幹事長らに弓を引く動きは顕在化していません。そしてきょうのタイミングで枝野代表が「種明かし」しましたが、今会期中残り3回(会期末当日含む)となった参議院憲法審査会で自民党が採決しなければ、立憲民主党の術中にますますはまってしまいます。

こういうのが選挙にどう影響するのかはまったく分かりませんが、枝野代表と、おそらく山花郁夫さんは法律を使ったトリックで、与野党を煙に巻くことに成功。支持者も含めて納得いくかたちで、今の任期を終えることになります。

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