連合第8代会長は下馬評通り松浦昭彦さんで固まる「UAゼンセン」組織内は全員国民民主党、拉致国民運動で加藤官房長官ともパイプ

[写真]連合本部=東京都千代田区「神田地区」=3年前の2018年、宮崎信行撮影。

連合、日本労働組合総連合会の会長に、下馬評通り、松浦昭彦さんが就任することがほぼ確実となりました。報道によると、きのう初めて開いた役選(役員選考)委員会で、次期会長に、最大産別の「UAゼンセン」の松浦会長を推す声が有力となったようです。

再来月、令和3年2021年10月の定期大会で、第8代連合会長に選出される見通し。ですから、第49回衆院選に前後して連合会長が交代する可能性がでてきたほか、来年7月の第26回参院選でも調整役をつとめる公算が高まりました。

連合会長は、第2代の芦田さん、第5代の高木さんに続き、第8代の松浦さんと、2代おきにUAゼンセンから就く格好となりました。UAゼンセンはもともと日本最初の労働組合「友愛会」の発祥団体で、全繊同盟→UIゼンセン同盟→UAゼンセンと名称を変えてきました。「UI」は友愛のもじりで、「友愛」「同盟」という言葉は、民間企業の労働組合を意味しています。世界トップのカーボンファイバー(炭素繊維)メーカー「帝人」出身の松浦さんが産別役員になってから、組合員は倍増して180万人となっています。また松浦さんは北朝鮮拉致問題の民間運動に注力したことから、加藤勝信内閣官房長官(元厚生労働大臣兼内閣府拉致問題担当大臣)と仲が良いとされ、メーデー中央集会で、加藤大臣が松浦さんだけ個人名を上げて感謝のあいさつをしたことがあります。

第7代会長の神津会長(基幹労連)の体制はまず、神津会長・逢見事務局長(UAゼンセン)でした。上述の通り、2代おきに会長になっている法則からすれば逢見さんが本命でしたが、神津会長・相原事務局長(自動車総連)・逢見会長代行の体制となりました。逢見さんの会長就任を阻止したい勢力が、神津会長の続投を支持したとの見方が有力。会長をめざした相原事務局長ですが、出身の「自動車総連・全トヨタ労連・トヨタ自動車労働組合」が恵まれた環境ゆえに、春闘の賃金統一回答要求から外れました。民間労組の春闘からトヨタ労組が外れたわけですから、これはもう会長の芽はとうていなく、相原さんは運がなかったの一言。

このため松浦会長がかねてから有力視され、1回目の役選委員会で浮上したことから、再来月の大会での選挙による選出まで波乱はないとみられます。

組合員数最多なのに選挙に弱かったUAゼンセンは、前回の参院選で連合系で最多得票で当選。組織内2人が国民民主党に所属しており、東京都連会長も務めています。松浦会長は就任直後の第49回衆院選、来夏の第26回参院選で、国民民主党支援に軸足を移すかもしれません。

過去のゼンセン出身会長では、第2代芦田さんが、橋本首相に乞われて官邸で「行政改革会議」の委員となり、自治労の声を橋本行革に反映して「連合」の屋台骨をつくり、勲章も旭日大綬章に格上げされました。第5代高木さんは、小沢一郎民主党代表(当時)とともに、各都道府県ごとに組織された連合地域協議会を行脚し「小沢元自民党幹事長は、マスコミが言うようなこわもてではないでしょう」と小沢さんと高木さんでお酌行脚。2009年衆院選の大勝につながりました。

松浦会長は自治労、日教組、情報労連など官公労系に目配せをして連合を指揮しつつ、保守的な勢力との連携を求めるかもしれません。組合員倍増で180万人を実現した、連合発足以後で最大の労働界のスターがついに登板ともいえます。


[写真]UAゼンセン組織内の、川合孝典(上)、田村真美(田村まみ)両参議院議員はともに国民民主党所属、東京・港区で、2021年4月、宮崎信行撮影。

枝野幸男代表率いる立憲民主党としては、まずは衆院選小選挙区での共産党
との候補者一本化だけは松浦会長に納得してもらって、第49回衆院選を迎えたいところでしょう。

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